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キャリこれ

~日本マンパワー独自調査~ リモートワークが与える働く人への影響

調査研究

調査

2020.10.26


2020年7月、コロナ禍におけるリモートワークが、働く人々の価値観や意識にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的に調査を行いました。
対象は新型コロナウィルス流行の影響を受け、リモートワークを新たに開始した方(20~60代の男女、約2000名)。年代の違いやキャリアへの満足度の違いが、環境変化の認識にどのような影響を与えているのか、また、新たな環境下で成果を上げるためには、どのような能力や支援を必要としているのかをレポートします。
<実施概要>
調査方法:インターネットリサーチ
実施機関:株式会社マクロミル
実施期間:2020年07月01日(水)~2020年07月03日(金)
有効サンプル:20~60代の男女 2060名
<調査結果⓵>
自身のキャリアへの満足度が高い人ほど、リモートワークを前向きに捉え、
満足度が低い人ほど、リモートワークに疲弊感・不安感が高い
今回の調査では「自身のキャリアへの満足度」と「リモートワークに関するさまざまな事項」との相関性に関して分析を行いました。その中で、特に高い相関性を示したものは、「取り組み姿勢(前向きかどうか)」・「疲労感・不安感」の項目でした。上記グラフからも見て取れるように、「キャリアへの満足度が高いほど、リモートワークに前向きで疲労感や不安感が少ない」という調査結果になりましたが、キャリアの満足度が高いということは、言い換えれば、さまざまな環境変化を自律的に捉え、内的キャリアの充実、意欲の維持ができているとも考えられます。ある程度の想定範囲ではありましたが、改めてデータとしてはっきり示された結果となりました。
なお、「自身のキャリアの満足度の高低」は所属する組織の「業績の高低(主観的判断)」に大きく影響を受ける部分があるかと思われましたが、今回の調査からはその相関性は見られませんでした。
次に、「年代別の違い」を見ていきましょう。リモートワークや急激な環境変化は、どちらかといえば若手層がすんなりと受け入れ、中高年層が抵抗を感じ疲弊感や不安感を抱いているという予想もありましたが、結果は意外なものでした。
<調査結果②>
新型コロナの影響を受け疲弊感・不安感を感じているのは20代前半が最も多い
20代前半には新卒や3年目前後の社員が入っていることを考えると、リモートワークになることで職場の文脈が読みにくい、仕事で主体性を発揮できず、不安や孤独を味わっている、そんな姿が想像できます。
さらにリモートワークでは、上司部下の縦の関係でのコミュニケーションだけに陥りやすいため、先輩や同期といった斜めや横の関係が希薄になり、若手社員が疲労感や不安を感じやすくなっていると考えられます。
リモートワークで必要な支援についても、20代前半は他の年代と比較して特徴的な結果が出ています。
<調査結果③>
20代前半は他の年代よりも、仕事の成果を高めるため【同期や同僚とのつながりを感じること】が必要と考えている

<調査結果④>
20代前半は他の年代よりも、仕事の成果を高めるために【社外の専門家に個別に相談できる窓口(メンタル、キャリアなど)】が必要と考えている
外部の専門家に相談するということになじみがない、40代、50代のマネジャー層は意識しておくことが大変重要です。相談機能を上手に使いこなすということは、リモートワーク時代にマネジメントを行う上で大切な要素となるかもしれません。
尚、調査結果を題材に、企業の人事担当の方々と座談会を開催しました。その際に頂戴した興味深い意見や視点もご紹介します。
・コロナ禍で、キャリアについて考え始めた若手は多い印象。一人で考える時間が圧倒的に増えたせいかもしれない。MBAを取りに行きたくなってきたなどの声もあった。
・新入社員はフォロー体制を丁寧にしているので、当社の場合は若手の中でも2年目、3年目の方が不安な思いをしているかもしれない。
・お金に関しては、若い人は蓄えが少ない分、将来への不安もあるだろう。
・若手の不安が大きい背景として、転職市場が一転して厳しくなったことも影響しているのでは?
・年齢層が上の人の方が、リーマンショックなども経験しているので、ある程度耐性、適応力があるのかもしれない。危機の経験がある。
・(記述コメントより)評価が気になる人というのは、もともと何で成果を見せることが出来るかに疎い人かもしれない。
・ジョブ型に切り替わっている会社もあるが、日々の仕事の流れはメンバーシップ型。何かトラブルが起こってもみんながそこにいれば、誰かがフォローできた。リモートで、メンバーシップ型が機能しない。身近に助けてくれる人がいなくて困っている人もいるだろう。
・マネジメントも難しさを抱えている。顕著に二極化している様子。上司が見てくれていないという声もある一方、丁寧に1on1をしている人も。
・悲観的に考える必要はないが、のんきな見通しも危ない。今こそ、スキルを予測して、AI化時代に消えない人材にならなければいけないだろう。
最後に、レポート及び調査に関するご意見やご質問は以下までお願いします。
株式会社日本マンパワー
マーケティング部 和泉 浩宣