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キャリこれ

元ラグビー日本代表主将から学ぶ 逆境やキャリアの転換期との向き合い方(後編)

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イベント

2020.11.26


【VUCAワールドを生き抜く】というコンセプトのもと、株式会社日本マンパワーでは、株式会社クリアソン様と共催で、トップアスリート研修体験会を定期的に開催しています。
 先日8月28日は、元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さんをお迎えし、オンライン体験会を開催しました。
★廣瀬さんのキャリアストーリー・逆境への向き合い方をお伺いした前編はこちら
https://future-career-labo.com/2020/11/19/ogata02/
体験会後編では、廣瀬さんから、選手引退後のキャリアトランジション(転換期)についてお話を伺いました。

登壇者・ファシリテーター

【登壇者】廣瀬 俊朗(ひろせ としあき)氏
元ラグビー日本代表キャプテン
慶應義塾大学理工学部を経て東芝ブレイブルーパスに入団。
高校・大学・東芝・日本代表とキャプテンを経験し、エディー・ジョーンズ監督に「自分がラグビー界で経験した中で、ナンバーワンのキャプテンだ」と絶賛される。
現役引退後、ラグビー普及や次世代リーダー育成のために、株式会社HiRAKUを設立。
企業研修講師や講演・解説をする傍ら、TBSで放送された【ノーサイド・ゲーム】にて浜畑譲役で俳優デビュー。
【ファシリテーター】
神田 義輝(かんだ よしてる)氏
早稲田大学ア式蹴球部出身。リクルートキャリアにてキャリアアドバイザーを経験した後、Jリーグにて選手のキャリア教育プログラムの開発・運用、セカンドキャリアのサポートに従事。
アスリートキャリアサポートの第一人者であり、日本で最もトップアスリートの研修を行っている。
リクルート時代は転職決定数で日本一も経験。
現在、株式会社Criacao(クリアソン)・水戸ホーリーホック取締役、社団法人理事として多方面で活躍中。

キャリアの転換期との向き合い方 ~探索~ 

2016年3月、「選手としてやりきった」という思いもあり、廣瀬さんはラグビー選手を引退します。当時、次に何をやるか明確ではなかったそうです。そこで、2016年は色々なものを見て、次の道を探る探索期としました。
 色々なところを見てまわる中で特に印象に残ったのが、リオのパラリンピック。パラリンピックで、ブラインドサッカーの試合を観戦した時のことでした。ボールに入った鈴の音を頼りにボールを蹴るブラインドサッカーでは、声を出す応援は当然NGです。
「今まで、試合は大声で応援するものと思っていたので、静かな試合会場の様子に、『自分の当たり前・常識って何だろう?』と気づかされました。
 全然知らないところに飛びこんだり、色々な人の発想に触れたりすることで、自分と他者との違い、そして、自分が何をしたいかがより見えてくるとわかりました。」

キャリアの転換期との向き合い方 ~インプット・アウトプットを繰り返す~

2017・2018年、東芝でコーチをしながら、廣瀬さんの新しい分野へのチャレンジは続きます。
〇2016年秋、BBT大学大学院に進学、経営管理修士(MBA)取得を目指す
〇2017年春、スポーツボランティア協会代表理事就任
〇2019年春、次世代リーダー育成・スポーツ普及等のために、株式会社HiRAKUを設立
〇2019年夏、TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」に浜畑譲役で出演
〇2019年秋、ラグビーWorld Cup2019アンバサダーの傍ら、
プロジェクト「スクラムユニゾン(世界中から来る選手やファンを、国歌や
ラグビーアンセムでおもてなし)」を立ち上げ・実施
〇2020年
・NPO法人Dooooooooの、ガーナでスポーツを広めるボランティアに参加 
・アスリートのセカンドキャリアを支援する一般社団法人「アポロプロジェクト」を立ち上げ
・プロバスケットボールB.LEAGUE応援キャプテンに就任
・アスリートのリーダーシップをさらに研究するため、慶應義塾大学・博士課程「システムデザイン・マネジメント研究科」へ進学。
 ここ数年の廣瀬さんのチャレンジをまとめると、それだけで1冊の本が書けそうです。
 「色々なコミュニティに行って刺激をもらい、インプット・アウトプットを繰り返してきました。そして、学んで終わりでなく、そのコミュニティに対して自分が何を貢献できるかを、いつも意識しながら活動しています」と廣瀬さんは語ります。
 もともと興味があったリーダーシップについての学びを深化させたり、ラグビーだけでなくスポーツ界全体の振興へと活動の幅を拡げていったり。廣瀬さんのトランジションは、これからもまだまだ続いていくようです。

廣瀬さん・神田さんからのメッセージ

 最後に、トランジションへの向き合い方について、お二人から頂いたメッセージを紹介します。
〇神田さん
「ビジネスのサービス・プロダクトが短命化している昨今、ビジネスパーソンがトランジションに向き合う機会が増えています。新しいスキルを学びなおす、過去の成功体験を一度終わらせることが日常的に求められる時代になりつつあります。
 私は今まで、アスリート数百名のトランジションに向き合ってきました。その経験から、外発的であれ内発的であれ、いずれ今のキャリアが幕を閉じる時が来るいう意識を持つこと、そしてその前提に立った上で、何をなすべきか考えていく姿勢が、これからのビジネスパーソンにも求められると思います。」
〇廣瀬さん
「トランジションには、怖さもあります。でも、フットワーク軽く、とりあえず何か1個やってみることが大事ではないかと思います。やってみないと分からないことは沢山あります。あわなかったら違うことをやったっていいんです。
 トランジションの過程で何が得られるだろうと、ワクワクしながら楽しみながらやっていく姿勢が大事ではないかと思います。
 皆さんと、日本を一緒によくする活動、次世代のための活動を、何かの機会にご一緒できれば嬉しいです。」

廣瀬さんのお話、いかがでしたか?
廣瀬さんには及びもつきませんが、私も逆境時に「私は何のために頑張るんだろう」と自問自答した経験があります。だからこそ、「何のために何をやるのかという自分軸を強く持つ」という廣瀬さんの言葉にとても共感しました。
今、コロナ禍により、逆境やキャリアの転換期に向き合っていらっしゃる方が大勢いらっしゃると思います。当レポートが、逆境・転換期を乗り越えていくための何かヒントにつながれば幸いです。