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キャリこれ

オンラインでキャリアコンサルタント養成講座を! ~「学び」の実現に向けて経験したこととは?(その2)

調査研究

開発

2020.12.18


「キャリアコンサルタント養成講座をオンラインで実施する」という、新型コロナウイルスの感染拡大前には想像もしていなかったことが短期間で実現しました。前回からの続きで、本稿ではオンライン化するうえでの検討ポイントの第3点目、講座の品質の担保から話をしていきたいと思います。

条件を整えられるか

講座をオンライン化するにあたり、まず検討課題になったのは回線の安定性と講座の形態についてでした。これらについては、3月7日の社員有志によるZoomテストでクリアできることが分かったのは前回お伝えした通りです。
それが分かる前は、知識の伝達部分だけをオンラインで実施して、ロールプレイング等は後日実施するということも実は選択肢として存在していました。Zoomのブレイクアウトセッションの機能が使えるということが突破口となって、知識伝達とグループ学習を組み合わせた対面での養成講座と同様の形態の実現にめどが立ちました。

手探り

Zoomの活用で講座形態の目処が立つと、今後はカリキュラムをオンラインの仕様に変えていく作業に移りました。当時のカリキュラムは全10日間。その全てを一気に組み替えるのではなく、1回分ずつを毎週作っていくというように進められていきました。
最初は、できるだけ確実に講座を進行できるよう、ブレイクアウトルームの使用頻度を多くなりすぎないように、また休憩も頻繁に取るようにとカリキュラムは考えられました。講座45分に対して15分の休憩を取って、受講生の疲れを軽減するようにし、またスマートフォンで受講している方の電池の充電にも配慮するようにしました。
対面から急遽オンラインに切り替えを行ったため、最初に作成されたのはキャリアの理論を学ぶ講座5日目のカリキュラムでした(当時)。さまざまな要素を勘案しながら1日分のスケジュールを組み立てた結果、試験的に実施したブレイクアウトセッションも充分使えることがわかり、以降のカリキュラムではそれらの経験を十二分に生かしていく方向性となりました。

決断

今でこそオンラインでの講座の提供はごく当たり前のことになっていますが、当初はその実現可能性が未知数であったこともあり、「講座自体を一旦中断する」ということも選択肢でした。実際、養成団体の中には、養成講座の実施自体を一時止めて、延期をしたケースがいくつも見受けられました。
しかし当社では、「感染者を出さない」という大原則を守りつつ、6月の国家試験に向けての学びの提供を継続することを選択しました。その解が「通学講座の全面オンライン化」だったのです。
この選択は、受講生には感染者を出さないことになる一方、講座を運営する社員や講師には感染のリスクが高まるということを意味します。この点について、事業責任者である田中は大いに悩んだと言います。万が一、感染者が出たら退職願を書くつもりだったと話してくれました。
「辞めて責任が取れるというわけではないけれど、誰かが責任を取るのだとすれば、そういう形になるんだと思った。」
おそらく、こんな決断が日本全国に、そして世界各地に存在しているのでしょう。

こうした決断に講師のみなさんが応えてくれました。
「こういう対応ができる会社で講師ができて幸せ」
急ピッチで進むオンライン化の中、多くの講師がそんな風に言ってくれたそうです。講師陣が心を合わせて素早く対応してくれたことは、オンライン化を支えた大きな要因だといえるでしょう。

品質を支えるもの

話を戻します。対面とオンラインとを比較して、講座の品質はどうなのか。
結論を言えば、全く同じであるはずはなく、それぞれに長所短所がある、というのが正直な答えになるでしょう。
例えば現状において、オンラインのほうが感染リスクを抑えることができ、受講する方は受講に集中することができるでしょう。通学では出会えない全国の多様な方たちと一緒に学び、刺激を受け合うことも可能です。さらには、受講生の要望に応えて、講座とは別枠で「地域別交流ルーム」や「ロープレトレーニングルーム」を開設するなど、対面講座にはなかった要素も取り入れています。

その一方で、これをお読みのみなさまも想像がつくかと思いますが、オンラインと対面とでは違いがあるのも現実です。1対1のロールプレイなど話をするときに、相手の全身が見えているかどうか、そして例えばその際に、手元の動きなどの相手の微細な様子を見て取れるかどうかなど、現状では埋めようのない差が存在しています。こうした点に、不安や不満を示される方も、中にはいらっしゃいました。プラスの部分を評価するというよりも、マイナスに感じられる部分に目が行ってしまうケースがあったということです。厳しいことですが、そうした声に真摯に向き合いながら、これまでも講座の改善を図ってきましたし、そして今後もその姿勢は変わりません。

あるとき、事業責任者の田中がCDA事務局のメンバーに向けてこう言いました。
「厳しいお声をいただくこともあるけれど、受講生のためを思って当社としてはできることを精一杯やっている。そのことをしっかり認識して、強い気持ちを持って対応するように。」
聞くと、自分たちは考えうる最善のことをやっているのだと、そういう自負を持ってもらえるように伝えたいと思ったそうです。
「ふと思ったんだ、家で。それを伝えるのが自分の仕事だ。」

(つづく)