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音楽座ミュージカル インタビュー記事(後編)~イレギュラーを瞬間瞬間で起こし状況を好転させていくDNAとシアターラーニング℗~

インタビュー

対談

2021.5.18


音楽座ミュージカル様 インタビュー後編は、シアターラーニング℗で工夫されていること、パンデミックで変化したことなどをお伺いしました。
ゲスト:音楽座ミュージカル 藤田将範氏、シアターラーニングメインファシリテーター
インタビュアー:日本マンパワー マーケティング部上級部長 金子浩
編集:日本マンパワー 緒方 雪絵

1、シアターラーニングで工夫していること、こだわっていること

金子:シアターラーニングは業種や職種に偏りなく、多くの企業様にご導入いただいています。しかも、ご導入いただいた企業様の大半から、プログラムのクォリティが高いと絶賛の声をいただいています。プログラムで工夫されていること、こだわられているところを教えてください。
藤田氏: そうですね、研修に没入いただくために舞台裏を見せないとか、参加者にアンテナを立ててもらうためのイントロダクションとか、演出・構成の工夫は日々重ねています。あと、本質的なところとして、次の2つを大事にしています。
〇実際に起こったことに、意味づけ・価値づけをする
〇プログラムを進化させつづける
■実際に起こったことに、意味づけ・価値づけをする
藤田氏:「Show must go on(ショーは続けなければいけない)」という、演劇界でよく使われる言葉があります。一度舞台の幕があがったら、終わりまでやりきるしかない。「ちょっとセットを間違えたんで、やり直します」とかは出来ないんです(笑)
研修も、細かいことがきちんと積み重なっていかないと、やりきることができません。だから、参加者にどう見えるかといった演出、参加者に何のために何を体験してもらうかといった研修の目的を考え抜いて、リハーサル・シミュレーションを入念に行っています。
でも、そういったベースはあるんですが、実は細かい台本はないんです。
なぜかというと、研修の場で実際に起こったことに、意味づけ・価値づけをしていきたいから。参加者の中で、瞬間瞬間に起こったこと・生まれたものを大事にしたいんです。
だから、起こったことによって進行も変えていきます。
「自分、今日この場に立ち合っちゃった」って、トレーナー・参加者全員が思えるような研修が理想ですね。
また、研修には実施する企業様の意図があります。「うちの社員にこうなってほしい」「研修を通じて、こういうことを持ち帰ってほしい」という人事・教育ご担当者の願いが、研修には込められています。私たちは、皆さまの代弁者・代行者でもあります。
だから、研修の意図と、今この瞬間起きていることをどうリンクさせられるかが、研修の重要な鍵だと考えています。
やっぱり、一方的に押し付けられたものだと、心に残りにくいと思うんです。
その場でリアルに起こったことが学びの素材になっているから、そして、偶然生まれてきた貴重な瞬間をともにしたという一体感によって、その経験が心に残るものになると思うんです。
金子:今のお話を聞いて、実際にシアターラーニングを導入され、半年後にフォロー調査を行った、ある人事教育ご担当者の言葉を思い出しました。
「研修で社員の感情を拾いあげることで、こんなにも後々の行動変化・成長につながっていくんだと驚きました」とおっしゃっていましたよね。
そのご担当者の課題は毎年同じ。新入社員が、お客様からの電話を取れないこと。でも、シアターラーニングを導入された年のフォロー調査では、「お客様からの電話を取るのが難しい」と回答した新入社員が1人もいなかったそうです。きっと、新入社員の皆さま、その後の行動が変化するくらい心に残る体験をされたんでしょうね。
また、こういったファシリテーションは、「想定通りのことではなく、今必要なものをこの瞬間やりきる」というDNAを持った音楽座ミュージカルならではという気がします。
藤田氏:ありがとうございます。
〇プログラムを進化させつづけていく
金子:2番目の「プログラムを進化させつづけていく」についても、詳しく教えてください。
藤田氏:先ほどもお話ししましたが、研修の場で実際に起こったことに、意味づけ・価値づけをしていく進行手法なので、参加者が研修中どんな反応をしたか、そしてどんな振返りをしているか(内面でどういう気づきがあったか)は、非常に注意深く見ています。
今は、オンライン研修が多いのですが、大画面で、参加者の皆さまの様子を拝見してます(笑)。また、グループワークの時は、各グループについたトレーナーとslackで情報を細かくやりとりしています。
参加者の反応から、このワークってこんな意味付けもできるんだなと発見したり、プログラムをブラッシュアップしていったりすることも多いですね。
去年オンライン研修の中で生まれたワークは、ここに何の意味があったのか、何の学びになったのか、参加者の皆さまの気づきや発見を参考にしながら、プログラムを深化させている真っ最中です。

2、パンデミックによって変わったもの

■オンラインの良さを、プログラムに活かす
金子:先ほど、オンライン研修のお話が出ましたが、去年は、パンデミックの影響で対面型研修・ミュージカルが実施できないことも多く、本当に激動の1年でしたね。
そんな中、オンライン版シアターラーニングが日々進化していく様子を目の当たりにし、その変化やスピードの速さに驚きました。パンデミックの影響で、シアターラーニングはどう変わりましたか。
藤田氏:シアターラーニングで大事にしているテーマやファシリテーションの部分は変わっていません。でも、演出や構成は結構変わりました。対面でやっているものをオンライン化するのではなく、バーチャル映像を入れ込むとか、画面を分割して見せるとか、オンラインの良さをいかしていく形に切り替えました。
また、プログラムの開発方法も変わりました。対面型研修だった時は、私の思いつきで、その場で急遽グループワークを入れるといったこともできました。でも、オンラインだと、システムとのやり取りがあるので、事前に、場がどう展開していく可能性があるか、メンバーと共有しておく必要があります。
「こういうことをやりたい」と自分を開いて、それをメンバーと掛け合わせるコラボレーションがより増えたなと思います。メンバーから、映像コンテンツや画面の見せ方について「こういうことも出来ますよ」と言われることも多く、プログラムの良い見直しになっています。
■若手の成長と、先代代表のメッセージ「3つの創造」
金子:シアターラーニングのプログラムだけでなく、音楽座ミュージカルの皆さんにも、何か色々変化があったようにお見受けします。
藤田氏:そうですね、若手の成長を実感しています。研修でグループワークに入るトレーナー達も、対面研修の時より、楽しんでいるというか充実した様子があります。オンライン研修の場合、グループワークで何か起こったか、ファシリテーターの私は、全てを見ることができません。トレーナーの参加者への関わり、トレーナーから私への情報共有が、より重要になっています。責任感ややりがいを、より感じているのかもしれません。
金子:確かに、研修の立会いでご一緒していて、以前と顔つきがちょっと変わったなぁという方をよくお見かけします。
俳優であり、かつ、研修トレーナー、映像コンテンツの作成、システム運営と、活躍する領域をどんどん変化・拡大させていっているんですね。
どうして、そんなことが出来るんでしょうか?
藤田氏:先代代表がメッセージとして強く打ち出していた「3つの創造」が、メンバーの行動に影響しているんだと思います。先代は、作品創造、市場(マーケット)の創造、マネジメントの創造、この3つを全メンバーに意識して行動してほしいと事あるごとに言っていました。
この3つの創造は、経営者なら当たり前の視点かもしれません。根本にあるのは「ここをあらしめたい」という思いです。
パンデミックにより、色々厳しい状況も続いていますが、音楽座ミュージカルを存続させていくために、各メンバーが自分にできることを、それぞれ当事者意識をもって取り組んでくれています。

3、今後に向けて

■社員エンゲージメントとシアターラーニング
金子:先ほど、音楽座ミュージカルの若手の皆さんが当事者意識をもって日々仕事に取り組まれているという素晴らしいお話がありました。
私が最近、企業の人事教育ご担当者とお話していると、社員のエンゲージメント低下に悩んでいる方が意外に多いんです。
パンデミックやリモートワークによって、会社と社員、社員同士のつながりが低下して、会社の求心力が落ちていると。
そんなお客様には、オンラインであっても、社員同士がつながりを実感したり、会社の理念やビジョンを自分事にして一体感を味わったり、社員のこころに残る経験ができるシアターラーニングをお薦めしています。100人単位といった同期全員、1000人単位といった社員全員、つまり大人数で実施できるので、興味を持ってくださる方が多いです。
藤田氏:とても嬉しいですね。シアターラーニングを始めた当初は、参加者は200人くらいが限界かなと思っていました。でも、徐々に参加者数の多い研修も増えてきて、とうとう5000人で実施する機会をいただいた時、「あ、大人数でもできるんだな」って感覚的につかめたんです。
金子「大人数の研修なんて、どうやるんだろう?」って思っている読者の方も多いと思うので、もう少し詳しく聞かせてもらえますか。
藤田氏:例えば、ポツンポツンと人が立っているところより、人が密集しているところの方が、ばーっと火熱が速く広がるイメージです。
研修での私の役目は、参加者の心に火をつけること。その瞬間瞬間の参加者の感情や感覚をリアルタイムでキャッチして場を作っていく。例えば、参加者がちょっとひいていたら、「あ、皆さんひいてますね」とお伝えすれば、参加者は「あ、自分だけじゃないんだ」と安心して、場の空気が変わっていきます。
そして、人の感情って伝染しやすいんです。不機嫌な社員がオフィスにいたら、まわりの人もなんだかギスギスするし、反対に、いつも笑顔の人がいたら、まわりもちょっと幸せな気持ちになります。
だから、場が活性化していけば、参加者自身の影響力がまわりに飛び火して、トレーナーが1人ひとりに火をつけなくても、参加者全員の心に火がつくんです。コロナ禍で研修がオンライン化したときは、参加者の心の火をつけることがむずかしいと感じましたが、プログラムの改善を繰り返し、オンラインでも大人数の一体感を味わえるように進化し、400名の内定者セミナーや全社員が集まるキックオフのプログラムや運営全体のプロデュースをご相談いただけるようになりました。
■読者へのメッセージ
金子:今年も多くの人の心に残る研修を、一緒に提供していきたいですね。最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。
藤田氏:コロナ禍の中、人と人が何気なく接する機会や雑談が消え、コミュニケーションの悩みを持った方が増えている現状が、気になっています。管理職の方から、部下の人となりがわからず、どこまで踏み込んでいいのかわからないというお悩みもよく伺います。
またビジネスモデルそのものや仕事の進め方が大きく変わり、正解がわからなくなってしまった環境で、「あきらめずに一歩前に踏み出すチャレンジ」をしてほしいというご相談もよく伺います。
職場で一歩踏み込んだコミュニケーションをするための場として、また自分のありたい姿に向かってストレッチゾーンで挑戦する体験の場として、シアターラーニングをご利用いただけたら嬉しいです。また、オンラインでもこんなにちゃんとコミュニケーションが取れるんだ、こんなに人と人のつながりを感じられるんだという感覚を、オンラインシアターラーニングを通じて多くの人にお届けしたいです。皆さまとお会いできる日を楽しみにしています!