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キャリこれ

「地域」というメガネで見通す働き方とキャリアのこれから

連載記事

2024.3.11


皆さんは、「地域(地方)で働くこと」をこれまで考えたことがあるでしょうか?
コロナ禍によってリモートワーク化が急速に進み、同時に都市で働く意味やオフィスを構える意味が失われた結果、多くの人が地方・地域に移り住んだり、2拠点生活にシフトしたりしました。
企業の中にも、この流れに呼応する動きが高まっています。NTT東日本は2021年に「時間と場所にとらわれない働き方」を導入。①全社的なリモートワークを推進②サテライトオフィスの利用拡大といった取り組みを進めています。
●NTT東日本グループの施策「時間と場所にとらわれない働き方の推進」 詳細はこちら
しかし、「地域」は必ずしも都市部以外を表す「地方」を意味しません。
世界に目を転じると“ミュニシパリズム”という概念や取り組みが広がりつつあります。これは地方自治体を意味する“municipality”を語源とし、地域に根付いた自治的な民主主義や合意形成を重視する考え方で、スペインのバルセロナやイタリアのナポリといった都市がこの言葉を掲げて革新的な施策を導入しています。日本では、欧州のシンクタンクでこの研究や活動を行って来た岸本聡子さんが2022年に杉並区区長に就任し話題となりました。
コロナ禍によって我々が意識的・無意識的に気づかされたのは、これまで盤石だと思われて来た国や都市の限界であり、同時に「地域」に目を向ける必要性なのかもしれません。


*画像はイメージです
一方、小規模の自治体では過疎化が急速に進むなど、地域や地方を取り巻く状況は厳しさを増しています。総務省が2022年に発表した国勢調査によれば「過疎地域(人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域)」は、全国1718市町村のうち885となり、昭和45年の「過疎法」施行以来初めて半数を超えました。
1999年に始まった「平成の大合併」から20年。歯止めのきかない人口減少や高齢化によって「令和の大合併」の声も出始めています。
この動きに対応して、多くの地方自治体がさまざまなアクションをとり始めています。
私の関わっている事例を1つご紹介します。
関東地方で最も人口が少ない(島嶼部を除く)群馬県上野村は、自然と共生する独自の循環型経済モデルを構築し、住民1100人の30%を構成するIターン・Uターン住民が村を支えています。
また、本サイトでもご紹介したサントリー食品インターナショナルの事例のように、環境対応で自治体と企業が連携し、人材を交流させる動きも広まっています。
「人生100年と考えたときに、定年は65歳ですが、まだまだ現役で働こうと思っている方もいらっしゃいますし、会社の中にいると会社組織の延長線上でのキャリアしか描けないですが、外に出ていろいろと考えることは、ご自身にとってはとても良い体験だと思います」(サントリー食品インターナショナル・藤巻恒さん)
●サントリー食品インターナショナルの事例 詳細はこちら

※画像はイメージです
地域・地方は「人材再生の場」と同時に「学ぶ場」としての可能性も秘めているようです。
徳島県神山町は昨年、民間企業11社の出資によって「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校」神山まるごと高専を開校し話題を呼びました。
●神山まるごと高専 詳細はこちら
大きな変化が訪れ、いよいよ「正解のない時代」に突入したいま。企業も自治体も大学も、あるいはそこに属する人たちも自組織の内に閉じていては生き残ることは難しく、多様なプレーヤーと「共創」する意味がますます高まっているのです。
「地域」というメガネを通じて、これからの働き方やキャリアはどのように見通せるのか。多角的かつリアルな視点と事例で解き明かし、この混迷の時代で未来をつくるヒントを模索していきます。ご期待ください。

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