MENU

キャリこれ

リモート地域副業で、地域・人材の見えない価値を発見し合う(後編)

連載記事

2024.7.3


 「『地域』というメガネで見通すキャリアのこれから」の連載第2回。今回は、異なるバックグラウンドの人たちが交じり合い、地域・人材の見えない価値を発見し合う地域貢献副業プロジェクト「Skill Shift」について紹介します。後編をお届けします!
ゲスト:株式会社みらいワークス Skill Shift事業責任者 岩本大輔様
記事執筆:日本マンパワー マーケティング部 緒方雪絵

6.地域副業に取り組む方のモチベーション
緒方:地域副業に応募する方は、どのようなモチベーションをお持ちなのでしょうか。
岩本: Skill Shiftは、ほとんど広告を出していません。ネットで「地方副業」というキーワードを検索し、興味ある人が登録してくれています。単純にお金を稼ぎたいのであれば、もっとわりのいい副業はあるので、地域貢献や自分のスキルを発揮する場を求めて、ご登録いただいているのだと思います。
なかには、副業として始めた方が、その後フリーランスになってご活躍されているケース、副業先に就職されたケースもあります。挑戦の機会を、うまく提供できていると良いなと思います。
また、私たちも、求人案件を「挑戦の機会」となるよう工夫しています。単純な業務の切り出しというよりワクワクする案件、普段会社にいては経験できないもの、少し視座をあげたものになるよう工夫しています。

7.「地域副業」にチャレンジする際のポイント
【1】「地域副業」にチャレンジする際のポイント
緒方:地域副業に関心のある方に、こうすると副業がうまくいくというポイントがあれば教えてください。
岩本:事前の準備として、下記の3点がポイントです。
(1)目的の定義
まず、地域副業をする目的を事前に定義しておきましょう。
スキルアップ、腕試し、地域・地元への貢献等、目的は複数あってもかまいません。
(2)スキルの棚卸し
どういった領域のスキルが発揮できそうか、事前にスキルの棚卸しをしておきましょう。
(3)使用可能な時間の確認
Skill Shiftの副業案件は、1か月10~20時間の設定が多いです。
例えば、週末ごとに半日使えるか、または平日1-2時間自由になる時間があるか、事前にシミュレーションしておきましょう。
岩本:また、ここ数年で登録者が倍増したことで、副業案件に応募しても不採用になることが残念ながら増えています。しかし、そこでめげず、どんどん応募してほしいです。落ちると傷つきますし、自分が認められていないのかなと不安になると思いますが、自分が駄目というより、その企業とより相性が良い人がほかに見つかっただけです。
自分に相性が合う案件を、どんどん応募して見つけに行ってください!
緒方:ありがとうございます。続いて、実際に副業に従事している時に必要な心構えがあれば教えてください。
【2】実際に「地域副業」に従事している時のポイント
岩本:ポイントは2つあります。
1)積極性を発揮しながら関わっていく
会社組織で働いていると、仕事は与えられるものというマインドになりやすいと思います。しかし、副業先では積極的に仕事を「作っていく」という気持ちで行動することが重要です。
というのも、副業する側も初めてのチャレンジにドキドキしていると思いますが、受け入れる企業の側も、売上げ施策や経営課題の解決に、外部人材の手をかりるのは初めてということが多いです。最初はお互いに戸惑いもありますし、試行錯誤もあるでしょう。
引き出しを一つ一つあけるようなつもりで、副業先の社長や社員にどんどん話を聞き、積極的に仮説をぶつけたり、新しい施策を提案していったりしてほしいです。
2)同じ目線を心掛ける
副業先は、登録者が所属している企業より、規模の小さいことがほとんどです。企業の規模感に合った施策を、副業先と同じ目線・同じ物差しで提案していく。上から目線や、「○○では…」という「出羽守」にならず、ぜひ、課題を一緒に解決する伴走者になってください。
緒方:「伴走者」という表現はぴったりですね!確かに、かけられる人手や費用感等、その企業に合った施策を提案しないと実行はできないですよね。
また、規模の大きな企業は、業務や担当領域が細分化されていることが多いので、副業先で、幅広い領域に携わることができるのは大きな魅力だと思いました。

8.今後の展望
緒方:個人の想いでも結構ですので、現在構想中のことがあれば教えてください。
岩本:地域と人材を結びつける地域副業の事業を、これからもしっかりやっていきます。加えて、地域や人材の挑戦には、もっと色々な形があると思います。
最近、地域自治体と一緒に、地域の観光施策を現地で考える「地域課題解決プログラム」(※1)を実施したり、個人ではなく企業向けに「副業プラットフォーム」(※2)のご提供をしたりもしています。
【参考】
※1 https://www.skill-shift.com/jobs/8990
※2 https://mirai-works.co.jp/news/news10085/
人材が協力し合い、チームで挑戦する機会があってもいいし、企業同士がタッグを組んで挑戦する機会があってもいいと思います。色々な形の「挑戦する機会」「挑戦プラットフォーム」を今後も模索しながら増やしていけたらと思います。

9.「地域でつくるキャリア」とは?
緒方:「地域というメガネで見通す働き方とキャリアのこれから」の連載で、全てのゲストに最後に質問しているのですが、岩本さんにとって「地域でつくるキャリア」とは何でしょうか。
岩本:私にとって「地域でつくるキャリア」とは、見えない価値を発見していくことです。
地域の人が、地元の良さに意外に気付いていないように、ビジネスパーソン側も、本当はすごいスキルを持っているのに、その価値に気づいておらず、中には自信を失っている人もいます。Skill Shiftのような挑戦する機会を通じて、自分の価値を発見し、自分の力を発揮できる場所を見つけていってほしいです。
そういった方が増えていけば、地域活性化・地方創生も進みますし、勤め先の企業の生産性アップにもつながっていくでしょう。最終的には、日本全国の活性化につながっていくと思います!

【編集後記】
緒方:「地域も人も、自身の価値に意外と気付いていない」という岩本さんの言葉が印象的でした!そして、「確かにそうだな」と思いました。というのも、先月、社内の有志が参加する勉強会があったのですが、その準備をする中で自分の長所を久しぶりに思い出す、という出来事を経験したばかりだったからです。
「内省は一人ではできない」とよく言われます。自分の強みや持ち味を磨き上げていく上で、普段の仕事と違うことに取り組んだり、新しい人に出あったりする重要性を、岩本さんのお話を聞いて改めて感じました。
海野(NPO法人ArrowArrow代表 複数の場で「働く」を実験中):
1つの企業で働くだけではなく場所を越えて地域の企業と共に働くという複線型のキャリアが、より一層生み出されていく時代に突入していると感じました。私自身も複数の組織にて働いていますが、場を変えて働くことによって、岩本さんがお話されていた3つの点(目的、スキルの棚卸し、タイムマネジメント)はぐっと明確になっていると感じています。特に「何のために(この場所で)働いているのか」を言葉にできていることは、働く上での意義やモチベーションにも直結するでしょう。
また、自分の「働く」によって地域企業に貢献できることは、地域企業の課題解決・ひいては地域企業を取り巻く社会課題にも連なっていくのだと感じました。

HRフェス 人的資本経営時代 いま、必要なキャリア開発支援とは
IHIの取組事例から学ぶミドルシニア社員のキャリア自律支援のポイントとは
キャリアコンサルタント養成講座(総合)