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地域課題の解決に挑む中で、自分の強みを再発見!新プログラム「越境キャリアジャーニー」

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2024.8.15


普段の職場を離れ、研修先でリアルな地域課題の解決に挑む「越境キャリアジャーニー」。フィールドワークだけでなく、越境学習の効果を高める事前レクチャーや、事前事後キャリアコンサルティングも入った総合プログラムです。キャリアの転機を迎えるミドルシニア社員に、自身の強みを再発見して頂く目的でこのたび開発しました!
ミドルシニア社員の活躍を促進したいとお考えの企業様にぜひおすすめしたいプログラムです。プログラム内容や学習効果、パイロット版実施の様子などをご紹介します!

1.ミドルシニア世代に、越境学習が有効な理由
(1)新プログラム「越境キャリアジャーニー」
「越境キャリアジャーニープログラム」は、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社と株式会社日本マンパワーが共同開発したプログラムです。
このプログラムの参加対象は、主に50-60歳のミドルシニア世代社員。この世代は、これから業務内容や人間関係が大きく変わっていきます。
キャリアの転機を複数ひかえる中、今後の働き方を考える上で重要なのが「内的キャリア」です。肩書きや役割といった「外的キャリア」ではなく、何を大事に仕事してきたかといった価値観や、今までの経験で培った仕事力などのことです。この自分の価値観や仕事力を客観視する良い機会になるのが、普段の職場から離れる「越境学習」です。
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
みずほフィナンシャルグループの中核会社。シンクタンクやシステム開発企業の枠を越えて顧客や社会に新たな付加価値を提供。経済・社会を読み解くリサーチ力、半世紀以上にわたる政策立案・戦略策定支援の歴史をもつコンサルティング力、先端技術知見とIT実装力が特徴。
地方創生や人材関連の社会実証事業などに関しても、豊富な知見・ネットワークを持つ。越境キャリアジャーニーの兄弟プログラムとして、大企業の次世代リーダーを対象にした越境リーダーズキャンプを展開。
(2)ミドルシニア世代に、越境学習が有効な理由
「越境学習」は、普段と異なる環境に身を置くことで、業務に関する新しい視点、自分自身に対する新しい気づきが得られると言われています。今回ご紹介する「越境キャリアジャーニープログラム」も、フィールドワーク先に越境し、リアルな地域課題の解決に挑んでいただきます。
取組む課題は、その地域が直面しているリアルなもの。参加者も自然と身が引き締まり、真剣モードになります。また、フィールドワーク先では、普段恩恵を受けている会社名や役職名が通用しません。素の自分に戻り、初対面のメンバーと協働しながら、自分の強みや持ち味を発揮していただきます。
また、越境キャリアジャーニーでは、越境学習の効果を高めるため、フィールドワーク先の現状を理解する事前レクチャー、自己理解を深めるための事前事後キャリアコンサルティングなどもご用意しています。

2.越境キャリアジャーニー 全体の流れ
続いて、越境キャリアジャーニーの全体の流れをご紹介します!パイロット版は、昨年2023年12月~2024年2月に、下記の内容で実施しました。参加者アンケートを基にした効果測定も行いましたので、その結果を基に、さらにプログラムをブラッシュアップして今後ご提供予定です。
ここからは、プログラムの各パートの様子をご紹介していきます

3.事前レクチャー
越境キャリアジャーニーは、オンラインで実施する「事前レクチャー」から始まります。事前レクチャーの内容は次の3つ。1つ目は、ミドルシニア世代のキャリア形成に関するレクチャー。2つ目は、事前に情報収集ができるよう、現地研修の課題説明。3つ目は参加者同士の顔合わせです。
パイロット版では、事前レクチャーを、半日かけてじっくり実施しました。
(1)ミドルシニア世代のキャリア形成に関するレクチャー
先述したように、ミドルシニア世代は、業務内容や職場での人間関係が変化する時期にあたります。
役職定年を迎え、ポジションや職務内容が変わる中、適応に苦労されている人も少なくありません。また、定年退職というゴールが視野に入り、ネクストキャリアについても悩み始めます。体力低下とあいまって、何かと働く意欲が低下しやすい時期です。
そのため、ここでは専門家から、①幸福感、健康、組織貢献の3つをバランスよく実施することが良いキャリアにつながるとする「サステナブルキャリア」の考え方、②仕事を「やりがい」や「楽しさを感じる」内容に変えていくジョブ・クラフティングの手法についてレクチャーしました。
(2)現地研修の課題説明

事前レクチャー時の映像
越境キャリアジャーニーの現地研修先は、大分県竹田市
事前レクチャーでは、竹田市が設立した「まちづくりたけた株式会社」の工藤専務から、現地研修の課題を説明いただきました。本研修において、まちづくりたけたには、地域の実情を踏まえた研修課題の設計や、現地研修におけるフィールドワークのコーディネートを中心に支援していただきます。
今回の現地研修の課題は、次の通りです。
課題
「まちづくりたけたの戦略部長となり、街の真ん中の空き店舗・空きスペースを活用したビジネスプランを提案する」

~課題として出された 竹田市の商店街の空き店舗~
湯布院や阿蘇などの観光地にほど近く、自然豊かな大分県竹田市。基幹産業は、農業と観光。他の地域と同様、過疎化や高齢化が進んでいます。人口は現在の2万人から、2040年には1.3万人にまで減少すると予想されています。
最近、市全体では移住者が増えているものの、市の中心部にある商店街が寂れてきているとのことで、先述の「街の真ん中にある空き店舗・空きスペースを活用したビジネスプラン提案」という課題が出題されました。
また、参加者には、事前レクチャー後、現地研修の実施までに、課題について情報収集をしてきてもらいました。
(3)参加者の顔合わせ
現地研修は、グループワークが中心です。そのため、グループのメンバーが早く打ち解けられるよう、事前レクチャーの時点で、顔合わせの機会を設けました。
今回、パイロット版の参加者は6名。勤務先は、商社、小売業(デパート)、製造業、食品メーカーなど様々。コミュニケーション上手な参加者が多く、顔合わせは終始和やかに進みました。参加者の笑顔に、事務局メンバーもホッと一安心しました。

4.事前キャリアコンサルティング
1の「ミドルシニア世代に、越境学習が有効な理由」で触れたように、キャリアの転機を複数ひかえたミドルシニア社員にとって、今後の働き方の軸となる「内的キャリア」について理解を深めることはとても重要です。
越境学習は自分について再発見する良い機会になりますが、その効果を最大化するため、越境キャリアジャーニーでは、事前キャリアコンサルティングのステップを設けました。
このステップでは、参加者に、まず「自分らしさ」について、紙に書き出してもらいます。内容は、今までの仕事概要、取り組み姿勢、大切にしてきたこと、発揮した専門スキル・ポータブルスキルなどです。
続いて、今回の現地研修で、自分らしさをどのように活かしたいのかも、専用シートにまとめ、その後、キャリアコンサルタントとの面談に臨んでいただきました。
現地研修準備シート サンプル
社会経験が何十年もあるミドルシニア社員は、これまでの経験で身につけた仕事力(Value)がたくさんあります。ただ、何を身につけたか総合的・俯瞰的に考える機会は少なかったかもしれません。パイロット版実施時、キャリアコンサルタントとの対話で、自分の強みが再認識できたという声も聞かれました。

5.現地研修
越境キャリアジャーニーのハイライトである現地研修。先述したように、フィールドワーク先である大分県竹田市での1泊2日の研修です。研修の様子を詳しく紹介します!
現地研修の流れ
(1)竹田市クイズ
研修1日目は、まず、商店街の真ん中にある研修会場(竹田市城下町交流プラザ)に集合。アイスブレイクもかねて、竹田市の名物などを問う「竹田市クイズ」が出題されました。事前リサーチをしっかりしてきた参加者が多く、高得点を獲得していました!

~現地研修 会場前での記念撮影~
(2)研修課題の説明・質疑応答
今回、現地研修の課題として出題された「商店街の空き地・空き店舗を活用したビジネスプラン」。実際の空き地・空き店舗を見学した後は、自治体・商店街関係者との質疑応答の時間となりました。
研修参加者からは、商店街でどんなものが買われているか、竹田市全体に外国人観光客はどれくらい来ているかなどの質問が相次ぎました。

~ビジネスプランの舞台となる空き店舗内部を見学~
(3)グループ別フィールドワーク
ここでは、グループに分かれ、商店街や観光名所の岡城址などを現地調査。筆者が同行したグループは、まずは竹田駅前に行き、タクシー運転手の方に利用動向のお話を聞いていました。その後は街の様子を観察したり、商店街の方や通りかかった人にヒアリングしたり…。どこに行っても、皆さま、親切に地元の様子を教えてくれました!
(※地元商店街の皆さまへは、事前に自治体関係者から、研修協力をお願いしています)
★フィールドワーク映像は近日公開予定です
(4)地域住民との懇親会
 研修1日目夜は、地元の方との懇親会。竹田市の市長・副市長、商店街の名士の方などが集まってくださいました。研修参加者は、この好機を逃さず、地元の実情や課題感などについて積極的にヒアリングしていました。
(5)追加情報収集
研修2日目。この日の午後には、空き店舗・空き地活用プランの発表があります。プランを練る前に、朝一で、追加のフィールドワークに出かけたり、まちづくりたけたの地域コーディネーターにヒアリングしたり、皆さまアクティブに動いていました。
~竹田市の地図を見ながら、まちづくりたけたの方にヒアリングする参加者~
(6)ビジネスプラン 発表資料作成
グループに分かれ、ビジネスプランを練り上げます。計算に強い人は「収支計算表」、パワーポイント作成が得意な人は「発表用スライド」というように、それぞれの得意分野を活かしながら資料をつくりあげていました。
(7)ビジネスプラン発表・地域関係者からのフィードバック
いよいよ「商店街の空き店舗・空き地を活用したビジネスプラン」発表の時間です。
まず、1つ目のグループが発表したのは、「クロススタイルたけた」。空き店舗を、1階は高齢者と若者がクロスする場、2階を観光客と地元民がクロスする場にしようというコンセプトです。
竹田市が、阿蘇、高千穂、湯布院のちょうど中間地点にあることに着目。3地点の観光時、竹田市をお休み処として活用いただくというスケールの大きなプランに、会場全員が聞き入っていました。まちづくりたけたの工藤専務からは、地域課題に沿っていること、1つの施設で複数の役割がクロスする発想が斬新であると高く評価されていました。
続いて、2つ目のグループが発表したのは、観光地である岡城址と、街の中心部の回遊性を高めるプラン。空き店舗の1階に、レンタサイクル受付や名産品直売所などを設置、2階をゲストハウスにするプランです。
こちらのグループは、岡城址に来た観光客を商店街に誘致するプランを練り上げていました。研修前から課題について仮説を立て、フィールドワークでは商店街にあるカフェで実際の利用者数をヒアリング。収支計算も緻密に立てていました。まちづくりたけたの工藤専務も、「このまま実行できそうな気がする!」と高く評価されていました。
(8)振り返り ~気づきを振り返る・参加者の相互フィードバック~
現地研修の最後は、越境学習での気づきや学びを振り返る時間。まずは、グループメンバー同士で、気づいたことをお互いにフィードバックし合います。
相手の「研修への取り組み姿勢や進め方で見習いたいと思った点」「発揮されていた強み」についてフィードバックし合ったのですが、少し照れくさそうに、しかし嬉しそうな様子でコメントを聞いている参加者の姿が印象的でした。
*画像を押すと、相互フィードバックの映像(約30秒)がご覧いただけます
また、一人ひとり、現地研修での気づき・学びを発表する時間もありました。参加者の声の一部を紹介します。
●「自分の苦手だと思っていたことを、グループメンバーがポジティブに受け止めてくれた」
●「技術系のことが得意だと再認識した。この強みを今後の業務にも活かしていきたい」
●「人のためになれるようなことをすることは、自分自身もすごく楽しかった」
*画像を押すと、発表の一部映像(約2分)がご覧いただけます
6.事後キャリアコンサルティング
現地研修の約2週間後、事後キャリアコンサルティングを実施。現地研修で新たに見つけた自分らしさ、または再確認できた自分らしさを、今後、自分の職務やキャリアにどう活かしていくかを、キャリアコンサルタントと対話しました。

7.越境キャリアジャーニープログラムの効果
今回、現地研修の前後、事後キャリアコンサルティング後などに参加者アンケートを実施。研修を通じて、参加者の内面にどのような変化があったかの効果検証を行いました。
自分の強みの発見、自己効力感の高まり等は予め想定していましたが、それ以外にも「事前リサーチと現地ヒアリングの差から、バイアスを持たずにコミュニケーションをとる重要性を認識した」「自分のモチベーションの源が分かった」等、複数の効果が確認できました。
参加者アンケートの結果については、参加者全体の学習成果の傾向を定量的・定性的に分析するとともに、参加者個々人の学びを可視化する形でも整理を行います。こうした分析結果は、参加企業様に対して個別にフィードバックさせていただきます。

画像を押すと拡大した資料がご覧いただけます
越境キャリアジャーニー パイロット版の効果検証
今回の効果検証においては、自身がこれまで所属企業の中で培ってきたスキルや経験が、地域づくりの現場という異なる環境においても応用できること、地域課題や社会課題の解決に貢献できるものであることを参加者の方々が認識し、自己効力感を高めていった様子が全体の傾向として確認されました。
このようなアウェイの環境における成功体験の蓄積が、今後社内で新たなミッションや仕事に挑んでいくことへの心理的なハードルを下げ、自ら仕事にやりがいや意義を見出すジョブ・クラフティングに繋がっていく可能性があると考えられます。
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
コンサルタント 渡邉武瑠
★「越境キャリアジャーニー 最新版プログラム」の詳細資料も、近日こちらからダウンロードいただけるよう準備中です!

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