メンバーの育成やモチベーションの向上を目的に1on1ミーティングを導入する企業が増えています。しかし一方で、「部下と何を話していいか分からない」「部下が本音を話してくれない」「業務ミーティングになってしまう」など、1on1を有効に活用できていないと悩む上司の方も多いようです。
そこで今回のセミナーでは、キャリアコンサルタント養成講座の講師として活躍する山内雅惠氏に、キャリアコンサルタントならではの1on1に対する考え方と活用できるスキルをレクチャーしていただきました。1on1の可能性を活かし、組織全体の活性化も可能にする実践的な内容をぜひ学んでください。
取材・構成:石澤 寧、イベント:2024/9/25開催
「5」~「16」の内容は、ダウンロードフォームにご入力いただきますと、PDFデータでご覧いただけます!
5.新入社員の働くうえでの価値観
6.ブレイクアウトルーム
7.部下とのコミュニケーションの現状は?
8.「聴く」ことの実際
9.「聴く」ことの誤解
10.「聴く」は相手の行動を促す
11.言葉には「気持ち」や「価値観」が表れる
12.話を「聴く」ことの効果(組織としてのメリット)
13.話を「聴く」ことの効果(個人としてのメリット)
14.話を聴くための3つの基本姿勢
15.話を聴くための3つの基本スキル
16.話を聴くステップ
【登壇者】山内雅惠(やまうち・まさえ)氏
大学卒業後、出版会社に就職し、営業、教務、人事教育、編集企画を担当。出産退職1年後の1990年、教育関連会社に就職。以降14年間、カリキュラム開発と指導とともに、育児相談、研修講師、マネジメントの立場で人事教育、広報、企画を担当。
2004年に株式会社日本マンパワーに入社し、キャリアカウンセラー(2016年4月より国家資格キャリアコンサルタント)と営業、キャリア研修講師とキャリア教育、キャリアコンサルタント養成講座を担当。
2011年4月、『モアユアセルフmore yourself』名で独立。上記の仕事を引き続き行っている。
《保有資格》
キャリアコンサルタント(国家資格)、CDA 、日本キャリア開発協会認定スーパーバイザー、日本MBTI協会認定ユーザーなど
《著書》
「人間関係づくりとコミュニケーション」金子書房、2019年
1.なぜ1on1にキャリアコンサルティングの考え方が有効なのか
こんばんは、山内と申します。よろしくお願いいたします。
皆さん、いまはお仕事帰りですか? 今日一日は楽しかったですか? 首を傾げたり、ニヤッとされたり、人によって色々な反応ですね!
私自身は、今日とても充実していました。ふだんは札幌に住んでいますが、今日は出張で福岡のホテルからオンラインで参加しています。50名近くの方々とご一緒できて、とても嬉しいです。
さて、今日は皆さんが主役です。私が話すだけでなく、皆さんが感じたことや質問をぜひ教えてください。また、グループワークの時間も設けていますので、そこでもぜひ感じたことを話してください。ではさっそく進めて参ります。
現代の変化の激しい世の中で、自分の生き方をしっかり考える必要があることには皆さん同意してくださると思います。ではお尋ねしますが、「自分は将来のキャリア形成の軸がある」という方は、手を挙げて頂けませんか?
2人、3人、4人……いいですね。はい、ありがとうございます。手を挙げられた方は素晴らしいです。手が挙がらなかった方も多いですが、「自分の軸を持つ」って、なかなか難しいですよね。深く考える時間がない、という方もいるでしょう。私も、未来がどうなるのかわかりませんが、「ありたい自分」はしっかりと持っています。
自分の軸を持って相手と関わることは、対人支援者として必要なことです。そして1on1も対人支援の取り組みです。ですから、上司の方、支援する側の方は、自分の軸を持ったうえで1on1に取り組むことが必要ですし、そのために、キャリアコンサルティングの考え方が役立つと思っています。
まず、私のキャリアについて少し自己紹介をさせてください。
私は大学卒業後に出版社に入社し、営業や編集企画、幼児教育の指導や人事など、様々な仕事を経験しました。その後30歳のときに教育産業に転職し、編集企画や経営企画、人事、教育に携わった後、45歳の時に日本マンパワーに入社しました。ここでキャリアコンサルティングに出合い、私自身もキャリアコンサルタントを務めるようになりました。
その後51歳で独立して現在に至るまで、キャリア教育や再就職支援、企業のキャリア研修やキャリアコンサルティング、そしてキャリアコンサルタント養成講座の講師や、大学でキャリア教育の授業を担当しています。
いまざっと説明したのは、私が「どこで何をしてきたか」という「外的キャリア」についてです。しかし、1on1でより大切なのは「内的キャリア」です。
「相手がそこから何を学び、どんな意味を感じているか」に注目することで、相手の価値観がわかり、それを踏まえたより深いコミュニケーションができるようになります。
私自身の内的キャリアを振り返ると、価値観を表すいくつかのキーワードが浮かびます。一つは「チャレンジ」です。私はこう見えて人見知りなんです。だから、出版社で営業部に配属された際には泣きました。
でも何かを売るのは苦手でも、人に関わることや話を聞くことは好きだったんですね。それを見ていた上司から、「売らなくていいから、ただ相手の話を聞いてきなさい」と言われてその通りにしたら、お客様がどんどん話してくださるようになったんです。すると、相手の困り事やニーズが分かるようになり、それをもとに提案したらどんどん売れるようになりました。それでそのうち営業も楽しくなってきた、という経験があります。「チャレンジ」によって、新しい自分を発見したわけです。
その後は教育産業に移って外国人の方とも一緒にお仕事をして、異なる価値観や、私が大切に考えている「多様性」を学びました。そしてキャリアについて学ぶことで、改めて「学びの楽しさ」を知ることができましたし、また、キャリアコンサルタントとして相談を受けたり、養成講座の講師を担当したりすることで「共に成長する」喜びを知りました。その後、新しい「変化」を求めて独立し、現在も新しい挑戦を続けています。
これらの経験から私が学んだのは「自律」です。これは1on1でも重要なテーマです。私は「自律」とは、「自分の価値観や道徳に従って、他者に依存することなく、自分の欲望にも負けずにしっかりと自分の足で歩いていくこと」だと考えています。それは、他責にしない、ということでもあります。そうした自律を応援する1on1についてお話しできればと思っています。
現代では、環境の変化によってマネジメントのやり方も変化しています。経済が成長していた時代には、上からの指導だけで通用していたのが、低成長で価値観が多様化した現在は、押し付けるだけでは人はついてきません。言い換えれば、常識や世間の価値観といった「外発的動機づけ」に比べて、やりがいや自己実現といった「内発的動機づけ」がより重要になった、とも言えます。
次のスライドでもう少し詳しく説明しましょう。アメリカの心理学者のフレデリック・ハーズバーグは、「2要因理論」の中で、人のモチベーションとそれに影響を与える要因について考察しました。
「衛生要因」は、「賃金」や「地位」など、外発的動機づけに通じるものです。これらは、満たされないと不満になる、つまりモチベーションが下がるものですが、満たされたからといってやる気が出てくるわけではない、というのがポイントです。
モチベーションの向上により影響があるのは、内発的動機づけに関係する「動機づけ要因」のほうです。「達成感」や人からの「承認」「成長感」といったものが人のやる気を高める要因になります。
もちろん、衛生要因、外発的動機づけも大切ですが、最近は動機づけ要因、内発的動機づけがより重視されるようになってきました。企業研修で、参加者の方々の価値観を探るキーワードを挙げていくと、「ポジション」や「昇給」よりも、「プライベートの時間」や「安心安全」「チームとの協働性」といった言葉が上位にくることが多くなりました。そんなところからも、世の中が内発的動機づけをより重視する方向に動いていると感じています。
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