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キャリこれ

初めてのキャリア№3 キャリアコンサルティングへの第一歩

連載記事

2025.7.25


~シリーズ「初めてのキャリア」。キャリアについて、よくある疑問やお悩みを、ストーリー形式でご紹介しています~

物語の舞台は、大手食品メーカー Y支店営業部。今回は、自分のキャリアについて考えを深めたいと思った竹中さんが、キャリアコンサルティングを受けるまでを取り挙げます。

 

「初めてのキャリア№1 キャリアって何?」は、こちら
「初めてのキャリア№2 外的キャリアと内的キャリア」 は、こちら

登場人物紹介

竹中さん

20代前半の男性。入社 3 年目。地元の大学を卒業して、現地採用で入社。 最近、同期の転職が相次ぎ、自分はこのままでいいのかと少し悩んでいる。

里見さん

50 代の女性。別の支店から異動してきた総務担当者。キャリアコンサルタントの資格を持っている。

~前回のあらすじ~

最近、同期の転職が相次ぎ、「自分はこのままでいいのか」と少し焦りや不安を感じている竹中さん。里見さんに悩みを打ち明けたところ、「自分の価値観」や「どんな自分になりたいか」を考えることが自分のキャリアを作っていく上で重要だという。

 

里見さんのアドバイスを受け、自分のキャリアをもう少し深く考えてみようかなと思い始める竹中さんだった。

竹中さん、キャリアコンサルティング受講を決意する

里見さんに悩みを打ち明けた数日後。午後の業務がひと区切りして、ひと休みしようと休憩室に足を運んだ竹中さん。すると、先に休憩を取っていた里見さんと一緒になった。

(1) キャリアコンサルティングって敷居が高そう

里見

「竹中さん、この間のお話の後、何か気づいたことはありましたか?」

竹中

「はい!自分が何を大事にしているか、普段あまり意識していなかったなって思いました。それで、もっと深く考えてみたいって気持ちも出てきました!」

里見

「それは素晴らしいですね。実は、竹中さんにうちの会社のキャリア相談の制度をお知らせしようと思っていたんです。専門のキャリアコンサルタントに、自分のキャリアについて相談できる制度です。

 

2回まで無料で利用できて、オンラインでも受けられるんですよ。」

竹中

「へぇ、そんな制度があるんですね。でも正直、ちょっと敷居が高そうというか……。

相談した中身を会社の人に知られたりしませんか?」

里見さんの説明を聞きながら、竹中さんの表情には興味と戸惑いが入り交じっていた。

里見

「その心配はよく分かります。でも大丈夫ですよ。
キャリアコンサルタントは法律で守秘義務が課せられているんです。
相談した人が望まないかぎり、話した内容が、個人を特定できる形で会社に報告されることはありません。」

竹中

「そうなんですね。でも、相談すると言ってもなぁ… 僕ははっきりとした悩みがあるわけじゃないし……。『なんとなくモヤモヤしている』程度で相談していいものなんですか?

里見

「それでまったく構いませんよ! むしろ、竹中さんのような人にこそ利用してほしい制度なんです。話をしながら自分の気持ちを整理することができますから。

里見さんがそう話すのを聞いて、キャリア相談に興味がわいてきた竹中さんは、里見さんの実体験を聞いてみることにした。

(2) 里見さんの経験

竹中

「里見さんはキャリア相談を受けたことがあるんですか?」

里見

「ありますよ! 40代で自分のキャリアを見直したくて相談しました。
私も最初は『こんなことを相談していいのかな』って思ったんです。でも、話しているうちに自分でも気づかなかった気持ちが見えてきて。それがきっかけでキャリアコンサルタントの資格を取ろうと思ったんです。」

竹中

「そうだったんですね。でも、初対面の人にいきなり自分のことを話すのって、やっぱり緊張しそうです。」

里見

「たしかに緊張しますよね。でも、人の話を聞く訓練を受けて資格を取った人たちですから、話しやすい雰囲気を作ってくれますよ。」

竹中

(少し考えて)「うーん…里見さんがそこまで言ってくださるなら、一度受けてみようかな。」

しばらく考え込んでいた竹中さんだったが、里見さんの温かい言葉に背中を押され、ついに決断を口にした。

里見

「それは良かった!一歩踏み出してみる価値はあると思いますよ。じゃあ申し込み手続きを教えますね。」

竹中

「ありがとうございます、お願いします!」

竹中さんの明るい返事を聞いて、微笑む里見さん。そして、「きっと良い機会になりますよ」と言いながら、申し込みの流れを説明し始めた。

休憩室の窓からは午後の陽射しが二人を優しく照らしていた。

竹中さん、キャリアコンサルティングを受ける

1週間後の平日の午前中。

竹中さんは自宅のパソコンの前に座っていた。月に何回か自宅でリモートワークをする日に合わせて、キャリア面談の予約を入れたのだった。

里見さんから教えてもらったオンライン会議システムにアクセスする。画面に相手の顔が映った。50代くらいの穏やかそうな男性だった。

毛利

「竹中さんですね。キャリアコンサルタントの毛利と申します。今日はお時間をいただき、ありがとうございます」

竹中

「こちらこそ、よろしくお願いします。あの正直、少し緊張してます。」

正直に自分の気持ちを打ち明ける竹中さん。

毛利

「そうですよね。初めてだと緊張されて当然です。まず、この面談がどのような場なのかをご説明させていただきますね。

 

このキャリア相談は1回60分間で、今日を含めて年に2回まで利用できます。お話の内容はどんなことでも構いません。私がお話を聞いて、竹中さんご自身が考えを整理したり、自分のことについて気づいたりするお手伝いをします。

竹中

「仕事の愚痴を言ってしまって、会社に知られたりしませんか?

毛利

「ご安心ください。私たちキャリアコンサルタントには、法律で定められた守秘義務があります。今日お話しいただくことは、一切外部に漏れることはありませんし、竹中さんがこの件を会社に伝えてほしい、とおっしゃらない限り、会社にも個人が特定されるように報告することはありません。

 

また、面談中にメモを取る場合がありますが、面談終了後には責任をもって処分します。ご了解いただけますか?」

竹中

(里見さんが言っていた通り、個人情報をきちんと守ってもらえるんだな)

「わかりました。よろしくお願いします。」

毛利さんの丁寧な説明を聞いて、竹中さんは緊張が少しずつほぐれていくのが分かった。

毛利

「この1時間は、竹中さんだけの時間です。お仕事のこと、将来のこと、今感じていることなど、何でも話してください。もちろん、内容はご自身で決めていただいて結構です。無理して話す必要はありませんし、しばらく考える時間があっても大丈夫です。自分のペースでお話しください。

竹中

(自分のペースで、自分が話したいことを話せばいいんだ。

思っていたより気軽な感じかも)

「ありがとうございます。少し安心しました。」

毛利

「それは良かったです。では、今日はどのようなことをお話しされたいですか?」

竹中

「はい…実は最近、自分のキャリアについて考え始めて……」

竹中さんの表情が、少しずつ柔らかくなってきた。(里見さんが教えてくれた通り、ここは安心して話せる場所みたいだ)。そう感じた竹中さんは少しずつ言葉を選びながら話し始めた。

今日のまとめ

●キャリア相談は何でも話ができる場
キャリア相談の場では、今の仕事・職場についての悩み、人間関係、仕事と家事・子育て・介護の両立、将来への漠然とした不安など、さまざまな内容を話すことができます。
キャリアの相談というと、転職のことを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、自分のキャリアをどう築いていくかや漠然とした将来への不安についても相談できます。

●キャリアコンサルタントの守秘義務
相談者から、「会社に知られてしまうのでは」という不安の声がよくあがります。しかし、キャリアコンサルタントは国家資格であり、法律で守秘義務が課せられているため、相談内容が外部に漏れることはありません。
(企業・団体が設置するキャリア相談の場合、個人が特定されない形で、相談内容の傾向などが報告されることがあります。その場合も、面談の最初に相談担当者から説明があります。)

●相談をためらう理由と実際

相談をためらう理由に、「敷居が高い」「悩みが漠然としている」という声もよく挙がります。

確かに、自分の悩みを初対面の人に打ち明けるのは、勇気が必要です。しかし、キャリアコンサルタントは専門的なトレーニングを受けていて、相談者が話しやすい環境を作ってくれます。

また、「なんとなくモヤモヤしている」という状態で利用してもかまいません。キャリアコンサルタントは、相談者の考えを整理したり、相談者が気づいていなかったところにフォーカスしたりというサポートをしてくれます。

現在、キャリア相談の制度がある企業も増えていますので、ぜひ制度の有無を確認して、活用してみてください!
(※その他、キャリアコンサルティングを提供している民間・NPO団体もあります。)

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