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ブラインドサッカーキャプテンから学ぶ ダイバーシティ豊かなチームづくりとは 【2021年2月12日開催 トップアスリート研修体験会Report】

イベント

2021.3.9


【VUCAワールドを生き抜く】というコンセプトの下、株式会社クリアソンと株式会社日本マンパワーの共催で、定期的に企業の人材育成ご担当者を対象にトップアスリート研修無料体験会を開催しております。
2月12日に行われたトップアスリート研修体験会は、「ダイバーシティ豊かなチームづくりとは」をテーマに、ブラインドサッカー男子日本代表キャプテンの川村怜氏をお呼びし、オンライン上で開催しました。川村氏からキャリアストーリー、ブラインドサッカーにおけるダイバーシティ組織の実践についてお話をして頂いた後、参加者の皆様と一緒にダイアローグセッションを行いました。
本体験会においては「問いの探究、深堀りを行い実務遂行のヒントに」というゴールを設定。登壇者が、一方的にセミナーを行うだけでなく、対話によって問いに対する思索を深めるライブ型で開催しました。

一度はあきらめた夢

まず、川村氏の競技歴の説明から始まりました。障がいは生まれつきではなく、幼少期に発症し、徐々に視力が低下して20歳過ぎに全盲になったこと。
小学1年、Jリーグが開幕した頃にサッカーを始め、上手くはなかったものの、皆と一緒にすることが楽しかったそうです。サッカー選手になる夢も抱いていました。中学に進学して、サッカー部の練習に参加していました。
しかし、ついていくのは難しいと感じるようになった時、部の顧問にも「競技レベルでサッカーを続けるのは難しい」と伝えられました。自分が視覚障がい者であることを痛感し、サッカー選手になる夢も途絶えました。陸上に転向した後も「いつかサッカーをまたやりたい」と胸に秘めていました。
そこで、サッカーに関われるトレーナーを目指し、鍼灸師の資格を取れる大学に進学。そこで、ブラインドサッカーに出会います。見えない中でも相手をかわしながらプレーするのを体感し、大きな感動を覚えました。自分もこんな感動を届けたいと、競技を始めました。

多様性を体現している競技

川村氏はこの競技について、
「ブラインドサッカーは、ダイバーシティ、多様性を体現している競技。コミュニケーションを必要以上に深めていくことで、見える人、見えない人が一緒になってサッカーを成立させることができる。
とはいえ、見えている人と、見えていない人に価値観の差や、能力の差があるので、いろいろな苦悩を経験してきています。
僕らの、最大の目標である、東京パラリンピック金メダル獲得に向かって、どう進んできたかをお伝えできればいいかと思います。正解ではないですが、こんなやり方をしてきました。というのをご紹介できればと思います」

と話しました。

違いを認識し、認めることが大切

ブラインドサッカーにおけるダイバーシティ組織について説明していくパートで、川村氏はこう話しました。
「一番問題が起こるときは、新しい戦術が取り入れられる時です。監督、コーチから最初に口頭で説明をされます。その後、ピッチの上で表現することになるのですが、上手くいく部分、上手くいかない部分があって、選手がお互いに考えをシェアする場を設けます。
『見えていないと難しすぎる』
『コーチたちは見えているからこんな戦術をするんだ』
『僕たちのことをわかっていない』と言う選手もいる。
反対に
『どうやったらできるか』
『どうコーチングされたらわかるのか』を考えようという選手もいる。
その中で、選手とスタッフの間に不信感、溝ができることがある。そこで、キャプテンである僕が、間に立ってこんな意見があったということを、選手の立場から伝えたり、提案をします。
コーチたちは、僕たちができると思いこんでいる場合があるので、そこで、お互い気づきを共有しながら改善し、次に進んでいくことになります。
お互いのことを知ることが大切になると思っていて、その人の背景、価値観、能力にみんなそれぞれ違いがあるので、お互いの違いを認識して、認めることが大切と思っています」

ダイアローグセッション

ダイアローグセッションでは、参加者の方からご質問を頂き、川村氏との対話から、問いを深めていきました。
「共通認識・共通理解を得るための過程は?」との質問に対し、
「全体で話し合って、全体の方向性を整えて、もっと深堀りしていくために、少人数グループで集まり、話し合って、グループの中で方向性を整える。それから、もっと個人レベルで、メンタルコーチと僕が協力して『この選手にアプローチしよう』とターゲットを絞ってやり取りをしています。
目的、ミッション、ビジョンの先に、人間としての存在意義まで深堀りをして、組織内での自分の立ち位置から、人生の立ち位置まで話し合うようにしています」
と答えました。
また「チームの使命やあり方等をメンバーと共有するにあたり、どんなプロセスで行っているのでしょうか?」という質問に対しては
「自分自身、キャプテンとしてリーダーシップを取っていく上で、プレー面で引っ張っていくのはもちろんですが、選手の立場、監督、コーチの立場の懸け橋になりたいと考えています。
そのため、常に自分に余裕があること、周りを見渡すことを意識して、取り組んでいます。とはいえ、僕も目が見えていないので、表情やしぐさが分からないので、目が見える副キャプテンとペアを組んで、アンテナを張りながら、2人で話し合って進めています。
ひとりではなくリーダーシップチームみたいな感じで、数名でリーダーシップを取っていくのもいいのかなと思っています」
と答えました。

トップアスリート研修とは

2018年から本格的にスタートし、トップアスリートからビジネスにおいて活かすマインドやスキルを学べる企業研修です。研修の対象や、目的、課題、ゴールについて確認をしながらカスタマイズ型の設計・実施を行います。代表的な展開としては新入社員、次世代リーダー、管理職、健康経営等の対象が挙げられます。
講師にトップアスリートをお呼びし、ファシリテーターが進行を行うため、アスリートの原体験から思考や姿勢、価値観を変換することができ、ビジネスの場面でも活かせる気づきや、学びを提供します。

なぜトップアスリートなのか

アスリートは、多様な価値観を持ったメンバーの中で、短期的な成果を挙げる必要があり、厳しい競争環境の中で差別化、市場価値の向上が求められます。また、テクノロジーや技術の進歩が速く、勝ちパターンはすぐに陳腐化します。こうした環境は現代のVUCA時代と共通する点が多く、トップアスリートの習慣や思考を学ぶことで今後のビジネス界を生き抜く力を得ることができます。
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https://www.nipponmanpower.co.jp/cp/event/information/ota/

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