MENU

キャリこれ

第3回目キャリTERAレポート 「第一生命様の取り組みに学ぶキャリア開発支援策の戦略的価値と50代社員のキャリア発達課題」

PICK UP

イベント

2022.1.14


企業内でキャリア支援に携わる方やキャリアコンサルティング資格保有者が対話・情報交換できる場所『キャリTERA』。
第3回目のテーマは「第一生命様の取り組みに学ぶキャリア開発支援策の戦略的価値と50代社員のキャリア発達課題」と題し、2021年10月15日に実施しました。
■第1回目キャリTERAレポートは、こちら
■第2回目キャリTERAレポートは、こちら
今回のゲストは、第一生命保険株式会社 人財開発室長 渋谷展弘さまと株式会社第一生命研究所 常務取締役 榎並重人さまのお二人。
モデレーターは、キャリアのこれから研究所所長兼日本マンパワーフェロー水野みちです。また、グラフィックレコーディングは、久々江美都さんにご担当いただきました。
【 目次 】 ※各章にジャンプできます
1. 「第一生命版セルフ・キャリアドック」の取り組み
2. ミドルシニアのキャリア発達上の課題とその方策

 ●ピーク&エンドの法則から見えてくる50代社員の現状と課題は?
 ●50代社員のキャリアに対する満足度を回復・維持・向上させるポイントは何か?
3. 質疑応答
4. ゲストプロフィール

1.「第一生命版セルフ・キャリアドック」の取り組み

冒頭、水野から今回のテーマを取りあげた経緯と進め方についてご説明した後、第一生命保険株式会社人財開発室長 渋谷展弘さまより、第一生命保険様のお取り組みについてお話をいただきました。
●社員の成長や価値創造を促す施策を「第一生命版セルフ・キャリアドック」と位置づけ、社員のキャリア開発を促進
2022年に創業120周年を迎える第一生命様。これから100年先もお客さまの幸せのための企業としてあり続けるため、2021年~2023年度を新たなビジネスモデルへの転換に着手する期間と位置付けています。
具体的には「圧倒的な人財力を生み出す3つの仕組み」(①多様な人財が活躍できる環境づくり、②価値創造する社員を支える仕組みづくり、③自律的な成長を促す仕組みづくり)等に取り組まれています。
まず、上述の①~③に絡め、10年ぶりに人事制度を改定され職責グレードを複線化されたこと、e-ラーニングを中心とする「自分改革メニュー」を多数ご用意されていること、若手従業員向けにキャリアデザイン研修を強化されたことなど、キャリア開発支援の各施策をご紹介いただきました。
そして、これらの施策を後押しする上で、多様な社員が柔軟なキャリア選択ができ、また自身の成長や価値創造を促す施策を「第一生命版セルフ・キャリアドック」と位置づけ、人事部と第一生命研究所のキャリア開発支援室がタッグを組み展開されているとのこと。
セルフ・キャリアドックの施策としては、①キャリアについて理解する、②自身のキャリア開発を自律的に考え、行動する、③キャリアについての考えを深堀りし、向き合う これら3つの側面との連動を図りながら、多様なメニューを準備され取り組まれているそうです。
また、「第一生命版セルフ・キャリアドック」に取り組むにあたり、「キャリア」という言葉を定義。キャリアとは「自己実現のために自ら人生を切り拓いていく生き方」とし、第一生命版セルフ・キャリアドックを通じて、Will・Can・Mustの重なり部分を増やすことで、社員のwell-being 「楽しく、やりがいをもって働き、自分が成長する」を実現していきたいと、想いを込めてお話しされていました。

2. ミドルシニアのキャリア発達上の課題とその方策

続けて、株式会社第一生命研究所 常務取締役 榎並重人さまより、同社が行った「大企業に勤務する50歳代男性 1,000名への調査」の結果に基づいて、50代社員の現状と課題、そしてキャリア支援に役立つ話題提供がありました。
●ピーク&エンドの法則から見えてくる50代社員の現状と課題は?
人は、自身のキャリアを見つめる時でもバイアスを持ちやすいと、榎並さんは行動経済学の視点から指摘します。自身の過去の経験を、全期間、絶対的なスケールで評価するのではなく、ピーク(絶頂)時がどうで、どう終わったか(エンド時)という相対的な評価をする傾向にあると。
これを50代社員に置き換えると、自身のキャリアを、過去のピーク時(最高年収や最高職位)とエンド時(役職定年等で気持ちがダウンした時)の2時点のみで評価してしまう。そのギャップで悶々とする現象に陥りやすいと。
この現象は、年収や職位が50歳代前半でピークに達し、その後、役職定年等により一気に下降に転じる大企業社員において顕著ではないかとも指摘します。
実際、「大企業に勤務する50歳代男性 1,000名への調査」で、50代回答者の、ピーク時点と現時点(エンド前後)とのキャリア満足度を比較したところ、まさに、2人に1人が自身のキャリアに不満との結果が出ているそうです。
●50代社員のキャリアに対する満足度を回復・維持・向上させるポイントは何か?
次に、榎並さんのキャリア支援のご経験に基づき、上記50代社員の現状と課題の解決につながりそうな2つのアプローチが提示されました。
1つ目は、キャリアデザイン研修を受けるというアプローチ。研修の中で、これまでの仕事や人生における満足度を細かく振り返る「ライフ・ラインチャート」を作成。これまでのキャリア(経験)を丁寧に棚卸しし自分の強みを再認識することで、ピーク&エンドの法則からの脱却を図れるのではと榎並さんは言います。
また、過去の経験を1つ1つ思い出すことは、自己肯定感をあげる効果もあるのではとも。
2つ目は、豊富な既存知(知識や経験)を活かして、職務領域の拡大や新しい職務の創出を目指していくアプローチ。ミドルシニア社員のキャリアの方向性として「専門性を高める」「周囲から頼られるようになる(後進育成)」の2つはよく言われるところです。
しかし、既存の仕事がなくなり、次々に新しい仕事が生まれてくるVUCAの時代、現在の延長線上のみで、セカンドキャリアを考える必要は無いと榎並さん。
ちょっとした触媒(新たな挑戦や越境活動など)が豊富な既存知と結びつき、新しいキャリアにつながった方の事例、過去やりたかったことに再チャレンジした方の事例などをお話ししてくれました。
~水野より一言~
榎並さんのお話を聞き、地位を手放す段階は「単なる喪失期」ではなく、自分自身への共感力を回復させ、心の声を聴き、自分がやりたいと思ったことにチャレンジしたり、まわりと「つながる力」を回復させたりする「キャリア・リノベーション」の段階だと感じました。
周囲のリソースと自分のかけあわせで、化学反応(イノベーションや新しい職務創出)が起きることも期待でき、新しいチャンスだと捉えると、全く違う世界が誕生するのかもしれません。どう生きるかは自分次第だということを再確認させていただきました。
榎並さんは、誰もがミドルシニア期は、悩み葛藤すると言います。
周囲の理解や励ましが重要、モラトリアムや自己探索の期間も必要だと。
役職を背負うことで失われていた自分らしさを再発見し、自分らしさを活かしたキャリアを築いていく過程において、キャリアコンサルタントが支援できることは多々ありそうです。

3.質疑応答

渋谷さん、榎並さんのお話のあと、参加者同士の対話を行いました。お二人の話を聞いて、感じたことや活かせそうなこと、疑問などをシェアし合いました。
その後は質疑応答を重ね、学びを深める時間となりました。ご参加者の皆様から寄せられたご質問の一部をご紹介します。グラフィックレコーディングと合わせてご覧ください!
【参加者からの質問】
・キャリアドックに参加された方からのコメントや感想は?
・副業を開始した時、会社へのリターンをどう考えればよいか?
・キャリアコンサルティングの運用はどの様にされていますか?
・50代社員に対する自律的なキャリア支援へのアドバイスを!等々
唯一の正解が見出し難い、これらのテーマですが、ご参加者の皆様とゲストの皆様同士が考えを相互に披露し合いながら、自社に持って帰れる適切な解を探索する時間となりました。
~結びにかえて~
今回もたくさんの方がオンラインで参加されました。それぞれのフィールドでキャリアコンサルタントとして活躍されている方同士が熱心に対話し合い、学びを深める場になりました。
ご興味のある方は、ぜひ次回ご参加ください!

4. ゲストプロフィール

渋谷 展弘(しぶや のぶひろ)様
第一生命保険株式会社 人事部 人財開発室長
2017年4月から人財開発業務に従事し、2021年1月に現職に就任。
1for1(第一生命版「1on1ミーティング」)やDLセルフ・キャリアドック(第一生命版「セルフ・キャリアドック」の導入等、社員一人ひとりのポテンシャル最大化に向けた育成施策を推進。
国家資格キャリアコンサルタント、BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
榎並 重人(えなみ しげと)様
株式会社第一生命経済研究所 常務取締役
第一生命保険 人事部部長 人財開発室長、第一生命経済研究所常務取締役を歴任
現在は、第一生命グループのセルフ・キャリアドック制度の運営統括、組織・キャリア開発に関わるコンサルタントや調査研究、大学講師を中心に活動
キャリアコンサルタント、NLPプラクティショナー、明治大学大学院グローバルビジネス研究科(MBA)修了