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リコー様の事例から学ぶ社員のキャリア自律支援 【後編】

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イベント

2023.1.13


イベントレポート後編では、参加者と上條様の質疑応答内容を紹介します。
カテゴリーごとに質疑応答をまとめましたので、ご関心あるところからご覧ください!
〇イベントゲスト:
リコークリエイティブサービス株式会社
教育支援事業部 教育推進部 リコーキャリアサポート室 室長
上條昌彦(かみじょう まさひこ)様
〇イベントファシリテーター:(株)日本マンパワーフェロー 水野 みち
〇レポート執筆:(株)日本マンパワー マーケティング部 中村 裕

1、会社や組織への働きかけ

質問1:イベント前半で、トップマネジメントから全社員に対し、キャリア自律についての指針が出たというお話しがありました。
社長は前向きだけれど、その他の役員や中間管理職が後ろ向きという場合もあると思います。その場合、どう働きかけたら良いのでしょうか? 上條さんは、向かい風などなかったでしょうか?
上條:「何をやっているか分からない」と見られると向かい風を感じやすいので、「こんなことやってますよ」と発信することが大事だと思います。
自分の経験で恐縮ですが、プロジェクトを進めていくうち、何人かの人が「いいね」という意見に変わっていって実際に話が進むと、動かなかった人も動いてくれるようになった経験はあります。
質問2:上司による育成面談とキャリアサポート室の面談の違いについては、社内にどのような説明をされましたか?
上條:上司(管理職)も面談の教育を受けているので基本的な違いはありませんが「専門性」ではだいぶ違うと思っています。面談にキャリアの専門性を求めるのであれば、キャリアサポート室を利用してねと働きかけています。
ただ今はまだ、全社的にこのことが浸透しているわけでなく、私と関係の近い上司にとどまっているのが現状ですので課題の1つと捉えています。
水野:少し話が逸れますが、上條さんは設計のご出身ですよね。その時のつながりやご経験が、社内説明の際に役立っていることはありますか?
上條:はい、昔の人脈はとても役に立っています。同期や設計時代の上層部が人材育成に力を入れている場合は力をかりています。
ある事業部では、「組織職全員面談」を実施しました。そこで挙がってきた課題を、事業部長にフィードバックしたり、そうした取り組みを通じて得た組織の課題を人事部と共有できたりして、非常に有意義な取り組みになりました。
質問3:自律したキャリア形成は必要だと思いますが、45歳以上のミドルシニア層など、今までのやり方を変えられない人もいるように思います。キャリア形成のカルチャーを作っていくにはどうしたらよいのでしょうか?
上條:これは難しいですね。強硬的に処遇で変えてしまうやり方もありますが、なかなかできないと思います。1つ、打ち手として、ハードルを下げていくこと、何か興味を持ってもらう施策が必要ではないかと思います。
例えば同年代でキャリアを積んできた人に失敗経験・成功経験を語ってもらうキャリアセミナーを実施するなど。
こうした事例紹介がうまくいったケースも聞いています。
水野:自分たちの当たり前や常識を壊していくことが、1つのポイントかもしれませんね。

2、キャリア相談機能の仕組みづくり、具体的な面談方法

質問4:社内キャリア相談室だと、キャリアアドバイザーと相談者が顔見知りの場合もあると思います。心理的安全性を担保し、相談者に本音で語ってもらうための工夫はありますか?
上條守秘義務について丁寧に伝えること、「ここだけの話で、人事上も何も記録に残らないですよ」と伝えることが、まず大切です。あとは傾聴です。いかに丁寧に傾聴をしていくか。本音で語ってもらうにはここに尽きるのではないかと思います。
また、面談が終わった後も、こんな話をしましたねとメール一つ送るだけでも、信頼感につながります。丁寧なやり方を地道にやっていくしかないと思っています。
水野:あと、たくさん話せたといっても、本音だったか分からないこともありますよね。
上條:そうですね。私たちのキャリアサポート室では、面談後にアンケートを取っています。面談中はいろいろ話してくれたけれど、アンケート結果が悪かったり、アンケートが返ってこなかったりするケースもあります。そこをどう取るか、キャリアアドバイザーが内省や振り返りをする必要がありますね。
アンケート返却率のデータは出しているので、返却率が低い場合は何か問題があるかもしれないとアンテナを立てるようにしています。
水野:構造的にキャリア面談をされているんですね。
上條:相談者は問題を抱えて、キャリア相談にくるので、最終的な問題解決までもっていきたいんです。
相談者と信頼関係ができたときに、面談の目標をお互い共有する。問題に対してどんな解決策があるか一緒に解決して終結する。後日改めてどうだったかを確認し、うまくいってないようであればもう1回面談する。このようなことを繰り返しているところです。
水野:インテークできちんと主訴を掴むのも大切だし、その後の問題解決や行動、振り返りもしっかりやることが大切なのですね。
質問5:社員でもあるキャリアアドバイザーが、社員の話を聞くことのやりにくさはありませんか?
上條やりやすさ・やりにくさの両方があると思います。良かったこととして、昔信頼していた上司がキャリアアドバイザーだったので、任意のキャリア相談が入ったケースがありました。
逆に、キャリアデザイン研修後のパーソナルサポートで、元上司は避けたいので別のキャリアアドバイザーにしてほしいと要望が入ったこともあります。そこに対しては、柔軟に対応しています。事前に分かっていれば担当者を変えたりしています。
水野:この場合、キャリアアドバイザーであり、元上司でもあるという多重関係が発生するので、確かにそういった配慮が重要ですね。

3、キャリア支援者の育成

質問6:新しくキャリアアドバイザーを迎える時の審査や資質の見極めはどのようにされていますか?
上條:定義書のようなものを作ってはいますが、まだ過渡期です。
最近新しくキャリアアドバイザーになった方の場合、最初の3ヶ月半は、面談には入ってもらわずに、ロールプレイやスーパービジョン、自主勉強会などに参加してもらい、その後、既存メンバーとロールプレイをしてからキャリア相談に入ってもらいました。

4、キャリア面談の成果指標

質問7:キャリアサポート面談のKPIは何か設定されていますか?
上條面談後にアンケートで取っている役立ち度(※)を月次で提出しています。ただ、アンケートの結果がいいからといって本当にいい面談だったとは限らない。面談で情報だけほしい人もいるので、面談の種類によってKPIは違ってくると思います。
※5点:大変役に立った、4点:役に立った、3点:どちらでもない、2点:あまり役に立たなかった、1点:役に立たなかったの加重平均

5、キャリア研修について

質問8: 受け身社員が多いのですが、どうしたら自律的に研修に参加してもらえるでしょうか?また、貴社では、手を挙げてこない人のサポートはどうされていますか?
上條:当社の研修は手挙げ制です。選択肢をいくら示しても、やらない人はやりませんし、そういった社員に手を差し伸べるのは、なかなか難しいことです。ただ、少しでも背中を押すような施策を打って、気づいてもらう。そして研修に参加した人をサポートする、というスタンスにしています。
質問9:キャリアデザイン研修を、年代別から目的別に変更された理由について教えてください。研修のアンケート結果、社内上層部からの声等、何が影響したのでしょうか?
上條:研修を全員必須にしていた時、研修に臨むモチベーションが社員によってバラついてしまうことが問題だと思っていました。研修のアンケートを見ると、一般的な内容より、個別・具体的な課題の方がニーズがありそうだったので、費用対効果の面からも望ましいのではと思い、内容を変更しました。
さて今まで、キャリア相談機能の仕組み作り、キャリア相談・キャリア研修 運用上の工夫など、多岐に渡ってイベント質疑応答の内容をご紹介してきました。
イベントでは、ここでご紹介した以外にも沢山の質問があがり、熱い議論の場となりました。おしみなく、質疑応答にこたえてくださった上條さんに、この場をかりて改めて御礼申し上げます!
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