はじめに
新入社員へのフォローや若手社員のオンボーディング施策、来年度の新入社員研修プログラムの検討などの参考に、ぜひお役立てください。
<質問項目>
Q1:ご所属の組織の業界について、あてはまるものを1つ選んでください。
Q2:あなたのご所属の組織では、新入社員研修を実施していますか。
Q3:あなたのご所属の組織における新入社員研修では、具体的にどのような内容を学びましたか。
Q4:今の会社を選んだ”本音の”理由はなんですか。
Q5:「働くこと」について、どのようなイメージを持っていますか。
Q6:仕事の中で、将来の自分についてどのようなイメージを描いていますか。
Q7:今の会社で、いつまで働き続けたいですか。
Q8:もし希望以外の部署、勤務地に配属された場合、どうしますか。
Q9:仕事への期待と不安、どちらを強く感じていますか。
Q10:Q9で「1 かなり期待を感じている」、「2 少し期待を感じている」と答えた方に質問します。それは何に対する期待でしょうか。
Q11:Q9で「4 少し不安を感じている」、「5 かなり不安を感じている」と答えた方に質問します。それは何に対する不安でしょうか。
Q12:あなたにとって、理想の上司とはどんな上司でしょうか。
Q13:上司に対してどのようなコミュニケーションを求めますか。
Q14:同期社員とどのような関係を築きたいですか。
Q15:あなたにとって、理想的なチームとはどのようなチームですか。
Q16:働く上であなたが大事にしたいものを「すべて」選んでください。また、その中で、最も大事にしたいものを1つ選んでください。
② 会社を選んだ本音の理由は「自分のやりたいことができるから」が3年連続で1位に。多様な働き方へのニーズも高まる(Q4)
③ 社外でも通用する人材になることについて7割が期待を感じ、6割が不安を感じている(Q10・11)
④ 上司やチームについて、「成果」や「専門性」「個」を重んじる傾向が見受けられる(Q12・15)
⑤ 新入社員研修期間中に「キャリアデザイン」を学ぶことの効果――将来像の具体化、会社での貢献意欲の促進から、定着率アップへつながるか。
-(1)将来の自分イメージを持っている新人は全体で7割、キャリアデザインを学んだ新人に限ると8割を超える(Q6)
-(2)全体の4割以上が現在の会社を「10年以内に辞める」見通しを持っているが、キャリアデザインを学んだ新人は4割以上が「20年以上働く」見通しを持つ(Q7)
-(3)希望以外の部署に配属された場合、キャリアデザインを学んだ新人では「異動希望・退職」に関する回答が減少(Q8)
-(4)キャリアデザインを学んだ場合、仕事への全体的な期待感が増加(Q9)。しかし具体的な項目では不安も増加傾向に(Q11)
-(5)キャリアデザインを学んだ場合、上司や同僚とのコミュニケーションに前向きな傾向が見られた(Q13・14)
★まとめ★
① 働く上で最も大事にしたい価値観は「心地よい環境にいること」が3年連続で1位に。一方でより価値観の多様化が進んだ傾向も見られる(Q16)
また、「働く上で大事な価値観を全て選ぶ」設問(Q15)では、数字の突出が減り、回答がさまざまな項目に分散する傾向が出ており、価値観の多様化が感じられます。
② 会社を選んだ本音の理由は「自分のやりたいことができるから」が2年連続で1位に。多様な働き方へのニーズも高まる(Q4)
逆に過去3年で最も高い結果となったのは、「自分の能力や知識を発揮できるから」(10.2%)「企業理念やミッションが自分の価値観に合っているから」(10.4%)、そして「多様な働き方(在宅勤務、フレックスタイム制など)が認められているから」(8.0%)です。特に「多様な働き方」は前年比4ポイント増加しており、勤務形態や時間帯に柔軟性を持たせて働きたい、という新入社員のニーズを感じ取ることができます。
③ 社外でも通用する人材になることについて7割が期待を感じ、6割が不安を感じている(Q10・11)
同じ項目に対する不安については、「あてはまる」「少しあてはまる」の合計が約6割と、この時期からすでに会社外の環境や選択肢についても意識的になっている様子が伺えます。
④ 上司やチームについて、「成果」や「専門性」「個」を重んじる傾向が見受けられる(Q12・15)
2位の「メンバーの個性を活かしている」(38.6%)、3位の「失敗をサポートし合える」(33.6%)もそれぞれ6ポイント前後の減少となっており、1~3位の数値がすべて過去3年間で最も低い結果となりました。
逆に、過去3年間で最も高い結果となったのは「個人の役割がはっきりしている」(27.8%)「自由を重んじる」(19.4%)「メンバーの専門性が高い」(15.8%)の3項目。全体的には協働するチームプレーを重んじる傾向がまだまだ強いながらも、専門性を重視した個人プレーを支持する動きも見られるのが興味深いところです。個人の役割、専門性、というキーワードからは、ジョブ型人事制度も想起されます。
⑤ 新入社員研修期間中に「キャリアデザイン」を学ぶことの効果――将来像の具体化、会社での貢献意欲の促進から、定着率アップへつながるか。
(1)将来の自分イメージを持っている新人は全体で7割、キャリアデザインを学んだ新人に限ると8割を超える(Q6)
(2)全体の4割以上が現在の会社を「10年以内に辞める」見通しを持っているが、キャリアデザインを学んだ新人は4割以上が「20年以上働く」見通しを持つ(Q7)
(3)希望以外の部署に配属された場合、キャリアデザインを学んだ新人では「異動希望・退職」に関する回答が減少(Q8)
キャリアデザインを学んだ新人に関しては、「異動希望を出す」が22.9%と全体に比較して微減、「とりあえず退職する」は0%でした。また、「その部署・勤務地で頑張る」も全体より約5ポイント多く、希望以外の部署へ配属された場合でも、悲観的に捉えすぎることなく、前向きに仕事へ取り組もうとする姿勢が見られます。
(4)キャリアデザインを学んだ場合、仕事への全体的な期待感が増加(Q9)。しかし具体的な項目では不安も増加傾向に(Q11)
上司や先輩など周囲からの定期的なサポートが必要とされる側面です。また、組織としても、今後どのような体制で本人の成長を支援していくのか等、支援体制に関する情報を明確化したり、さまざまな立場の社員とのコミュニケーションの機会を設けたり、経営理念やビジョンの浸透を図るといった施策を行うことも有効でしょう。
(5)キャリアデザインを学んだ場合、上司や同期社員とのコミュニケーションに前向きな傾向が見られた(Q13・14)
<まとめ>
ここ数年は、この若手社員の多様化のほかコロナ禍の影響もあり、せっかく良い人材を採用しても早期に離職してしまう、仕事へのモチベーションを下げてしまう、という声が年々増えています。自社の将来を担う人材を育成し、社内でいかに活躍してもらうにはどのようにすれば良いでしょうか。
仕事へのモチベーションを高める施策は多々ありますが、今年は、「キャリアデザイン学習」に焦点を当てて考察します。今年の調査で、新入社員研修時にキャリアデザインを学んだ人は全体の約2割。全体回答と比較すると、キャリアデザインを学習した人は、仕事に対する意欲や組織への貢献意志、チームで働く姿勢がひと際高いという結果が出ていました。新入社員の段階から早期にキャリア自律支援を行い、自らの強みや価値観を活かして社内で活躍する具体的なイメージを持たせることは、エンゲージメントを高め、組織で長く活躍する社員を育成するため、今後ますます重要になってくると考えられます。
アンケートの「会社を選んだ本音の理由」で、3年連続で首位回答だった「自分のやりたいことができるから」。近年、最初に配属される部署を確約する「初期配属確約」など、新入社員の希望に配慮する企業がますます増えてきています。しかし、業務や人間関係等全てが、新入社員の期待通りになるとは限りません。入社後、リアリティショックにぶつかる新入社員も大勢います。
そんなリアリティショックへの対応、自分ではコントロールできないことも含めどうキャリア自律していくかを考えるのに有効なのが、ジョブ・クラフティング(※)の手法です。
いわゆる「やらされ感」のある仕事に自分の強みや価値観といった「自分らしさ」を取り入れたり、仕事に関連する人間関係に変化を加えたりして、「やりがいのある仕事」や「楽しさを感じる仕事」にしていくものです。仕事を「すべき」ものから「したい」ものへ変えていくことで、仕事の意義を捉え直し、取り組む意欲を向上させることができます。新入社員の希望に配慮する企業が増えている今の時代だからこそ、社員がリアリティショックを受けた際のサポートも、より求められていると言えるのではないでしょうか。
株式会社日本マンパワー調べ
調査手法 :インターネットリサーチ
調査地域 :全国
調査対象 :22~28歳の男女
調査期間 :2024/05/10(金)~2024/05/13(月)
有効回答数 : 500サンプル
調査実施 :株式会社クロス・マーケティング
プロモーションイベントの企画運営、各種映像教材のナレーションを担当。
クラシック映画と某ポイントを貯めることが好き。「お菓子作りとか得意そうだね」とよく言われます。
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