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新入社員意識調査2024-新入社員のキャリアのこれから-

調査研究

調査

2024.9.12


はじめに

日本マンパワーでは、今年も4月に2024年度の新入社員500名を対象に、新入社員のキャリアへの意識や働くことの価値観に関するアンケートを実施しました。
新入社員へのフォローや若手社員のオンボーディング施策、来年度の新入社員研修プログラムの検討などの参考に、ぜひお役立てください。
<調査結果のサマリーを無料でダウンロードできます>
こちらより、当調査のサマリーをダウンロード可能です。ぜひご活用ください!

<質問項目>

Q1:ご所属の組織の業界について、あてはまるものを1つ選んでください。

Q2:あなたのご所属の組織では、新入社員研修を実施していますか。

Q3:あなたのご所属の組織における新入社員研修では、具体的にどのような内容を学びましたか。

Q4:今の会社を選んだ”本音の”理由はなんですか。

Q5:「働くこと」について、どのようなイメージを持っていますか。

Q6:仕事の中で、将来の自分についてどのようなイメージを描いていますか。

Q7:今の会社で、いつまで働き続けたいですか。

Q8:もし希望以外の部署、勤務地に配属された場合、どうしますか。

Q9:仕事への期待と不安、どちらを強く感じていますか。

Q10:Q9で「1 かなり期待を感じている」、「2 少し期待を感じている」と答えた方に質問します。それは何に対する期待でしょうか。

Q11:Q9で「4 少し不安を感じている」、「5 かなり不安を感じている」と答えた方に質問します。それは何に対する不安でしょうか。

Q12:あなたにとって、理想の上司とはどんな上司でしょうか。

Q13:上司に対してどのようなコミュニケーションを求めますか。

Q14:同期社員とどのような関係を築きたいですか。

Q15:あなたにとって、理想的なチームとはどのようなチームですか。

Q16:働く上であなたが大事にしたいものを「すべて」選んでください。また、その中で、最も大事にしたいものを1つ選んでください。

< 本年度調査のポイント >※クリックで各項目へジャンプできます
① 働く上で最も大事にしたい価値観は「心地よい環境にいること」が3年連続で1位に。一方でより価値観の多様化が進んだ傾向も見られる(Q16)
② 会社を選んだ本音の理由は「自分のやりたいことができるから」が3年連続で1位に。多様な働き方へのニーズも高まる(Q4)
③ 社外でも通用する人材になることについて7割が期待を感じ、6割が不安を感じている(Q10・11)
④ 上司やチームについて、「成果」や「専門性」「個」を重んじる傾向が見受けられる(Q12・15)
⑤ 新入社員研修期間中に「キャリアデザイン」を学ぶことの効果――将来像の具体化、会社での貢献意欲の促進から、定着率アップへつながるか。
-(1)将来の自分イメージを持っている新人は全体で7割、キャリアデザインを学んだ新人に限ると8割を超える(Q6)
-(2)全体の4割以上が現在の会社を「10年以内に辞める」見通しを持っているが、キャリアデザインを学んだ新人は4割以上が「20年以上働く」見通しを持つ(Q7)
-(3)希望以外の部署に配属された場合、キャリアデザインを学んだ新人では「異動希望・退職」に関する回答が減少(Q8)
-(4)キャリアデザインを学んだ場合、仕事への全体的な期待感が増加(Q9)。しかし具体的な項目では不安も増加傾向に(Q11)
-(5)キャリアデザインを学んだ場合、上司や同僚とのコミュニケーションに前向きな傾向が見られた(Q13・14)
★まとめ★

① 働く上で最も大事にしたい価値観は「心地よい環境にいること」が3年連続で1位に。一方でより価値観の多様化が進んだ傾向も見られる(Q16)

2010年の調査開始以来、継続して尋ねている「働く上で最も大事にしたい価値観」では、今年も「心地よい環境にいること」が22.0%で第1位に選ばれました。
第2位「自分の能力を発揮すること」(17.8%)、第3位「人の役に立てること」(13.4%)の順位は昨年と同様です。「心地よい環境にいること」に関しては過去3年で最も低い数値になりました。
また、「働く上で大事な価値観を全て選ぶ」設問(Q15)では、数字の突出が減り、回答がさまざまな項目に分散する傾向が出ており、価値観の多様化が感じられます。

② 会社を選んだ本音の理由は「自分のやりたいことができるから」が2年連続で1位に。多様な働き方へのニーズも高まる(Q4)

会社を選んだ本音の理由としては、昨年同様に「自分のやりたいことができるから」(21.6%)が最も多い回答となりました。
2位「給与・待遇が良いから」(17.2%)、3位「社内の雰囲気や人間関係が良さそうだから」(14.6%)も昨年同様の順位です。ただし「社内の雰囲気や人間関係が良さそうだから」に関しては過去3年で最も低い数値となっています。
逆に過去3年で最も高い結果となったのは、「自分の能力や知識を発揮できるから」(10.2%)「企業理念やミッションが自分の価値観に合っているから」(10.4%)、そして「多様な働き方(在宅勤務、フレックスタイム制など)が認められているから」(8.0%)です。特に「多様な働き方」は前年比4ポイント増加しており、勤務形態や時間帯に柔軟性を持たせて働きたい、という新入社員のニーズを感じ取ることができます。

③ 社外でも通用する人材になることについて7割が期待を感じ、6割が不安を感じている(Q10・11)

仕事に対する期待と不安に関する設問では、近年若手社員の早期離職や転職市場の活性化が継続的に話題となっている事情を踏まえ、今年から新たに「社外でも通用する人材になること」に関する期待と不安についても問いを立てました。
気になる結果は「社外でも通用する人材になること」への期待に関しては、「あてはまる」「少しあてはまる」の合計が約7割。
同じ項目に対する不安については、「あてはまる」「少しあてはまる」の合計が約6割と、この時期からすでに会社外の環境や選択肢についても意識的になっている様子が伺えます。

④ 上司やチームについて、「成果」や「専門性」「個」を重んじる傾向が見受けられる(Q12・15)

理想の上司像に関する問いでは、「共感して話を聞いてくれる」(45.0%)が昨年より5ポイント落としながらも首位。非常な僅差で「自分を尊重してくれる」(44.6%)が続きますが、どちらの選択肢も過去3年間で最も低い結果となりました。一方で、「仕事の成果を大切にする」(22.6%)「専門性が高い」(14.8%) など、業務に直結するような選択肢が過去3年間で最も高くなっています。
また、理想のチーム像に関しては、「互いのことを理解し尊重している」(48.0%)がこれまでの結果同様に首位でありながら、昨年よりも7.8ポイント減っています。
2位の「メンバーの個性を活かしている」(38.6%)、3位の「失敗をサポートし合える」(33.6%)もそれぞれ6ポイント前後の減少となっており、1~3位の数値がすべて過去3年間で最も低い結果となりました。
逆に、過去3年間で最も高い結果となったのは「個人の役割がはっきりしている」(27.8%)「自由を重んじる」(19.4%)「メンバーの専門性が高い」(15.8%)の3項目。全体的には協働するチームプレーを重んじる傾向がまだまだ強いながらも、専門性を重視した個人プレーを支持する動きも見られるのが興味深いところです。個人の役割、専門性、というキーワードからは、ジョブ型人事制度も想起されます。

⑤ 新入社員研修期間中に「キャリアデザイン」を学ぶことの効果――将来像の具体化、会社での貢献意欲の促進から、定着率アップへつながるか。

昨今、人的資本経営に関連する施策や激しい環境変化への対応策として、入社後の早い段階からキャリア自律を教育プログラムに組み込む企業が増えています。そこで今年は新たに、新入社員研修期間中の学習内容に関する問いを設けました。その中からキャリアデザインを学んだ新入社員の傾向について見てまいりましょう。新入社員研修中にキャリアデザインを学ぶことは、どのような影響があるのでしょうか。

(1)将来の自分イメージを持っている新人は全体で7割、キャリアデザインを学んだ新人に限ると8割を超える(Q6)

「出世は希望していない」も含め、何らかの将来イメージを持っている新入社員は、全体では7割に上ります。キャリアデザインを学んだ新人に絞ると、8割以上がイメージを持っている結果となりました。全体と比較しますと、管理職への意欲は10ポイント以上増加、「わからない」は4ポイント以上減少しました。なお、昨年増加の傾向が見られた「副業しながら働きたい」は、今年はどちらの場合も減少傾向が見られます。

(2)全体の4割以上が現在の会社を「10年以内に辞める」見通しを持っているが、キャリアデザインを学んだ新人は4割以上が「20年以上働く」見通しを持つ(Q7)

全体回答としては、3年間共通の結果でもありますが10年以内に4割以上の方が現在の会社を退職する見通しを持っていました。しかし、キャリアデザインを学んだ新人の場合、「定年まで」の回答が全体比10ポイント増加、「20~30年程度」は5ポイント増加。逆に「特に考えていない」は8ポイント減少しています。結果として、全体回答とは打って変わって4割以上が現在の会社で20年以上働く見通しを持っていることがわかりました。組織の中でどのように活躍するか、どのように貢献していくか、具体的なイメージを持ってもらうことの重要性がよく表れているといえます。

(3)希望以外の部署に配属された場合、キャリアデザインを学んだ新人では「異動希望・退職」に関する回答が減少(Q8)

全体回答では「異動希望を出す」が24.2%、「とりあえず退職する」が7.0%と、3割が異動や退職に直結する回答をしていました。
キャリアデザインを学んだ新人に関しては、「異動希望を出す」が22.9%と全体に比較して微減、「とりあえず退職する」は0%でした。また、「その部署・勤務地で頑張る」も全体より約5ポイント多く、希望以外の部署へ配属された場合でも、悲観的に捉えすぎることなく、前向きに仕事へ取り組もうとする姿勢が見られます。

(4)キャリアデザインを学んだ場合、仕事への全体的な期待感が増加(Q9)。しかし具体的な項目では不安も増加傾向に(Q11)

キャリアデザインを学んだ新入社員の仕事への期待感(「かなり期待を感じている」「少し期待を感じている」)は、全体と比較すると約11ポイント多く、期待感が目に見えて醸成されているようです。
しかし、Q9にて「少し不安を感じている」「かなり不安を感じている」と感じた方に限定して具体的な項目に対する不安の度合を聞いてみると、キャリアデザインを学んだ方は、総じて全体よりも多く「あてはまる」「少しあてはまる」と回答していました。働くことや仕事内容に関する解像度が高まり、将来をより具体的に、現実的に見通すことができるようになったがゆえに、不安もより具体化している可能性があります。
上司や先輩など周囲からの定期的なサポートが必要とされる側面です。また、組織としても、今後どのような体制で本人の成長を支援していくのか等、支援体制に関する情報を明確化したり、さまざまな立場の社員とのコミュニケーションの機会を設けたり、経営理念やビジョンの浸透を図るといった施策を行うことも有効でしょう。

(5)キャリアデザインを学んだ場合、上司や同期社員とのコミュニケーションに前向きな傾向が見られた(Q13・14)

上司や同期とのコミュニケーションに関しては、全体結果よりも前向きな結果が見られました。上司に対しては「いつでもなんでも相談させてほしい」が14.8ポイント、同期との望ましい関係については「いつでもなんでも話せる仲」が7.2ポイント増加しています。

<まとめ>

昨今、若手社員の価値観の変化・多様化がよく取り沙汰されていますが、今年の調査の結果にはまさしくこの時代の流れが反映されていました。働く上で大事にしたいことや働き方において重視したいことなど、複数の設問について回答が分散傾向にありました。
ここ数年は、この若手社員の多様化のほかコロナ禍の影響もあり、せっかく良い人材を採用しても早期に離職してしまう、仕事へのモチベーションを下げてしまう、という声が年々増えています。自社の将来を担う人材を育成し、社内でいかに活躍してもらうにはどのようにすれば良いでしょうか。

●キャリアデザイン学習は、仕事への意欲や組織への貢献意志を高めるのに効果あり
仕事へのモチベーションを高める施策は多々ありますが、今年は、「キャリアデザイン学習」に焦点を当てて考察します。今年の調査で、新入社員研修時にキャリアデザインを学んだ人は全体の約2割。全体回答と比較すると、キャリアデザインを学習した人は、仕事に対する意欲や組織への貢献意志、チームで働く姿勢がひと際高いという結果が出ていました。新入社員の段階から早期にキャリア自律支援を行い、自らの強みや価値観を活かして社内で活躍する具体的なイメージを持たせることは、エンゲージメントを高め、組織で長く活躍する社員を育成するため、今後ますます重要になってくると考えられます。
1点気になるところとしては、キャリアデザインを学習済みの新入社員は、仕事に対する解像度が高くなるがゆえに、仕事への不安も高まってしまう傾向がみられました。こちらについては、上司と共にキャリアを考える機会(1on1等)や、同期との交流の機会を設けることが有効だと考えられます。キャリアデザインを学んだ新入社員は、上司や同期とより密なコミュニケーションを望んでいる傾向があります。上司や同期と交流することにより、仕事への不安が低減され、「働く」ことへの意欲が高いまま保持できると思われます。
●自分のやりたいことができなかった時どうする!?リアリティショックへの対応
アンケートの「会社を選んだ本音の理由」で、3年連続で首位回答だった「自分のやりたいことができるから」。近年、最初に配属される部署を確約する「初期配属確約」など、新入社員の希望に配慮する企業がますます増えてきています。しかし、業務や人間関係等全てが、新入社員の期待通りになるとは限りません。入社後、リアリティショックにぶつかる新入社員も大勢います。
そんなリアリティショックへの対応、自分ではコントロールできないことも含めどうキャリア自律していくかを考えるのに有効なのが、ジョブ・クラフティング(※)の手法です。
いわゆる「やらされ感」のある仕事に自分の強みや価値観といった「自分らしさ」を取り入れたり、仕事に関連する人間関係に変化を加えたりして、「やりがいのある仕事」や「楽しさを感じる仕事」にしていくものです。仕事を「すべき」ものから「したい」ものへ変えていくことで、仕事の意義を捉え直し、取り組む意欲を向上させることができます。新入社員の希望に配慮する企業が増えている今の時代だからこそ、社員がリアリティショックを受けた際のサポートも、より求められていると言えるのではないでしょうか。

※ジョブ・クラフティング;米イェール大学経営大学院で組織行動論を研究するエイミー・レズネスキー准教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授により提唱された手法
組織、上司、そして新入社員本人、それぞれへの働きかけを行って新入社員の主体的な行動と成長を促すことは、新入社員の早期戦力化、激しい環境変化にも適応しうる、強い組織づくりにもつながります。各社が新入社員の育成を進めるにあたり、この度の弊社調査が少しでもお役に立てることを願っています。
<調査結果のサマリーを無料でダウンロードできます>
こちらより、当調査のサマリーをダウンロード可能です。ぜひご活用ください!
<調査概要>
株式会社日本マンパワー調べ
調査手法 :インターネットリサーチ
調査地域 :全国
調査対象 :22~28歳の男女
調査期間 :2024/05/10(金)~2024/05/13(月)
有効回答数 : 500サンプル
調査実施 :株式会社クロス・マーケティング

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