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これからのキャリア開発に大切な「ジョブクラフティング」 ~第2回:具体的な方法と日本マンパワーのジョブクラフティング研修~

連載記事

2021.3.5


前回は、「ジョブクラフティング」とは何か、そしてジョブクラフティングが多くの企業で注目されている背景について解説しました。
今回第2回目は、ジョブクラフティングの具体的な方法や弊社のジョブクラフティング研修の概要について、前回に引き続き、日本マンパワー秋本からご紹介します。

ジョブクラフティングの具体的な方法

「ジョブクラフティング」を提唱したエイミー・レズネスキー氏とジェーン・E・ダットン氏は、「ジョブクラフティング」の手法として、①仕事の意義を拡げること ②仕事のやり方や範囲を見直すこと ③社会的な交流の質や量を修正することの3つの方法を提示しています。
①「仕事の意義を拡げること」
これは、職務や業務に対して自分がどのように捉えるかを変化させる方法です。
レズネスキー氏・ダットン氏の「病院の用務員に関するジョブクラフティングの研究」によると、彼らは自分の仕事を単に汚れたシーツの洗濯、廊下のモップがけ、トイレ備品の補充だけではなく、健康を増進し、病気を治し、苦しみを和らげるという病院の大目標の一つの側面だと捉えていました。
②「仕事のやり方や範囲を見直す」
これは、現在従事している職務を構成している業務の量や方法を変えていく方法です。
ディズニーランドで清掃を担当しているカストーディアルが、わかりやすい事例です。自らの仕事を「ゲストのために尽くす」と捉え直すことにより、掃除だけでなく、濡らした箒でミッキーマウスの顔を書くことでゲストを楽しませる、美しく・速くゴミを拾うなど仕事のやり方や範囲を見直した事例です。
③「社会的な交流の質や量を修正すること」
これは、仕事上で関わる社内外の他者との付き合い方のやり方を変えたり、関わりの量を変化させていく方法です。
レズネスキー氏・ダットン氏の「病院の用務員に関するジョブクラフティングの研究」の中では、用務員でありながら、医師や看護師、あるいは患者や患者の家族とも積極的に交流し、誰かが話し相手を必要としているときにはしっかりと耳を傾ける、看護師が点滴の針を刺す時に患者がリラックスできるように話しかける、訪問者に道案内をするなど他者との交流の仕方を変化させていた事例が取り上げられていました。

若手社員向けジョブクラフティング研修の特長

日本マンパワーの「ジョブクラフティング研修」でも、先ほどご紹介したこの3つの方法をベースにプログラムを組み立てています。研修の主な対象者は、若手社員(配属されて仕事に就いている入社1年目後半社員から5年目社員)です。
若手社員を主な対象としている1つ目の理由は、「大卒社員が、3年で3割が早期離職する」といったデータがある通り、若年社員の早期離職が増えるこの時期に実施することでリテンション(早期離職防止)の効果をあげること。2つ目の理由は、ジョブクラフティングや後述する経験学習の考え方を、入社後早い段階で習得及び習慣化させることで、今後の環境変化に主体的・積極的に対応できる「自律型社員」となるためのクセ付けをしておくことです。
ジョブクラフティング研修で大切にしているメッセージ(「会社・組織の中で自分にとって好ましいキャリアを獲得するためのポイント」)は次の3点です。
①現状の仕事で成果をあげる
②将来の目標を定め、実現に向けた準備(能力開発、仕事への取り組み)をする
③「適職探し」から「仕事のやり方」に目を向ける
研修プログラム設計にこの3点を反映することで、研修を受講しながらこのメッセージが受講生に「腹落ち」していく流れをつくっています。また、ジョブクラフティング研修では、最近の研修での重要キーワードである「いかに職場での実践につなげるか?」を重視しています。

若手社員向けジョブクラフティング研修の流れ

研修の前半では、まず「①現状の仕事で成果をあげる」ことにつなげるため、受講生が研修の受講前に、上司と仕事の優先順位を相互確認するステップを入れています。
そして研修の中で最も優先順位の高い仕事を「ジョブクラフティング」の対象として、様々な角度から「仕事の意義を拡げ」「仕事のやり方や範囲を見直して」いきます。
またその仕事に関連する「社会的な交流の質や量を修正する」ために、仕事を遂行する上で関係する社内社外の人間関係についても「仕事への意義を拡げたり」「関わり方や範囲を工夫する」方法を考えます。
研修の後半では、研修受講後に職場で実践する「経験学習」の推進計画を立案し、研修後すぐに実践できるようにしています。
「経験学習」は、デビット・コルブが提唱した概念で、下記の図のサイクルを回しながら仕事の成果を上げ、成長していくものです。日本企業でも新入社員や管理職の研修にこの概念を導入する企業が増えています。
ジョブクラフティング研修を受けた若手社員の方の感想を、いくつか紹介します。
●ジョブクラフティングという言葉自体初めて聞き、実践したこともなかったが、一つひとつの観点から細かく分析することで、仕事をしたいという意欲を描き立てられた。
●毎日の業務を面白くさせ、業務への興味を維持させる方法を学ぶことにより、違った視点で考えることができた。
●仕事の成功体験から持論を作る事で自信もつくし、研修後に業務へ取り組む際の参考になる。

中堅社員・ベテラン社員向け ジョブクラフティング研修の実施事例

近年、若手社員以外の中堅社員、ベテラン社員を対象にジョブクラフティング研修を実施するケースも増えています。
研修の実施事例を2つご紹介します。
【事例1 あるメーカーで、営業部門に再配置予定の40歳代~50歳代社員を対象に行った研修】
実施の背景は、会社を取り巻く環境変化への対応のため、重点事業に人員を再配置することになったことです。再配置先の一つが、高い専門知識を必要とするコンサルティングセールスでした。再配置される社員は、事前に3か月の専門知識教育を受講、その教育期間中にジョブクラフティング研修が実施されました。
研修では、ジョブクラフティングの考え方を学び、3か月の事前教育への動機付けを行うと共に再配置後の職務でモチベーションを自律的に維持向上していただくためのスキルとしてジョブクラフティングの実践を行いました。
【事例2 あるサービス会社で、顧客対応部門に再配置された40歳代~50歳代社員を対象に行った研修】
この会社では、外注していた顧客対応部門の内製化に伴い、40歳代~50歳代社員の方がコールセンターへ異動されました。社員満足度調査を行ったところ、コールセンターのスコアが他部署と比較して低い結果となっていました。
このまま放置しておくと、仕事のパフォーマンスの低下やメンタル疾患の可能性も高くなります。そのため、対策の一環としてジョブクラフティング研修が実施されました。研修では、コールセンターで現在担当している職務についてジョブクラフティングを具体的に実施することで、対象者に自分自身固有のモチベーションの高め方を習得していただきました。

以上、ジョブクラフティングの具体的方法と弊社のジョブクラフティング研修についてご説明しました。
この研修はすでに約70社の企業にご導入いただいております。この研修を実施する中で、受講生が担当職務に対してモチベーションを高めていく様子を毎回目にすることができており、人事教育担当者様からも高い評価をいただいております。
それでは、次回は、ジョブクラフティングの考え方を取り入れた1on1ミーティングの実施方法について解説いたします。