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越境と体験から学ぶジョブクラフティングの本質と実践(後編)

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イベント

2023.4.28


イベント『越境と体験から学ぶジョブクラフティングの本質と実践』の様子を紹介する当レポート。
前編では、イベントの第一部、サッカー元日本代表の石川直宏さんをゲストにお迎えしたトークセッション「プロフェッショナルの世界に越境して学ぶ どんな状況も成果と成長につなげるセルフマネジメント力」の様子を紹介しました。
後編では、イベントの第2部、「セルフマネジメント力が高まるジョブクラフティング体験セッション」の内容をご紹介します。日常業務にも活かせるヒントが沢山ありますので、ぜひご一読ください!

■イベント登壇者 等
【ファシリテーター】
株式会社日本マンパワー マネジメントコンサルタント 秋本 暢哉(あきもとのぶや)
【レポート執筆】
株式会社日本マンパワー 中村 裕(なかむら ゆたか)
■第1部「プロフェッショナルの世界に越境して学ぶ どんな状況も成果と成長につなげるセルフマネジメント力」はこちら

1.ジョブクラフティングとは?
まず初めに、秋本からジョブクラフティングの理論についての紹介がありました。
秋本:「ジョブクラフティング」とは、2001年に米イェール大学経営大学院で組織行動論を研究するエイミー・レズネスキー准教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン教授により提唱された概念です。
ジョブクラフティングは、Job=仕事、Crafting=創る、という言葉で構成されており、社員1人ひとりが、「担当する仕事への見方・考え方や取組み方を工夫し、自分にとって意味があるものに創り変えていく」方法です。
端的にまとめると「仕事への視点を変えたり、役割を再定義したりすることで仕事を面白くし、成果に繋げていこう」とする考え方です。
ジョブクラフティングは、日本では2010年頃から、着目されるようになってきました。

2.ジョブクラフティング研修の効果・受講層の変化
秋本:ジョブクラフティングを使った研修は、日本で導入された当初、主に、職業人としてスタートしたばかりの若手社員を対象に、離職防止やモチベーション向上のために実施されてきました。
なぜなら、ジョブクラフティングには、下記に記載するように、自分と仕事とのミスマッチ感を減少させたり、ワークエンゲイジメントを向上させたりする効果があるからです。
参考資料:
①活躍する若手社員をどう育てるか 山内祐平著(東京大学大学院情報学環教授) 2022年慶応義塾大学出版会
②「ジョブ・クラフティング」で始めよう 働きがい改革・自分発! 高尾義明著(東京都立大学大学院経営学研究科経営学専攻教授) 2021年生産性労働情報センター
受講層の変化
秋本:しかし、近年では、ミドルシニア社員向けにジョブクラフティング研修を実施するケースが増えてきています。
第一部でも話題に上がりましたが、グローバリズムの進展や、環境変化が非常に速いスピードで進む中、企業が従業員のキャリアを主導するのではなく、従業員が主体的に自身のキャリアについて考え行動する「キャリアオーナーシップ」の動きが加速しているからです。
弊社でも、例えば、ビジネスモデルの転換により大規模な配置転換があった企業様で、新しい仕事の“前向きな捉え直し”、そして自分の新しい領域を広げていく“学び直し”という目的にそってミドルシニア社員の方に、ジョブクラフティング研修をご提供するようなケースが増えてきています。
また、定年以降も担当職務が全く変わらない企業で、マンネリ感を打破し、引き続きいきいきと活躍し組織貢献をして欲しいといった狙いで、60歳定年社員に対してジョブクラフティング研修を実施している例もあります。

3.ジョブクラフティング3つの手法
続いて、仕事を面白くするための3つの手法について、第1部の石川さんのエピソードを用いての説明がありました。
秋本:ジョブクラフティングには3つの手法があります。第1部 石川さんの事例を使ってご紹介しましょう。
①仕事の意義を拡げる
まず「①仕事の意義を拡げる」は、職務や業務を、自分がどのように捉えるかを変化させる方法です。石川さんは、大きな怪我をされたとき、怪我によって自分がどう成長できるのか楽しみだと、怪我の意味づけを変えたり、試合に出られない立場ゆえに、チーム全体を俯瞰し監督にも有益なアドバイスができると仕事の意義を拡げたりされていました。
②仕事のやり方や範囲を見直す
「②仕事のやり方や範囲を見直す」は、現在の職務を構成している業務の量や方法を変えていく方法です。石川さんは、監督やチームメートが変わった時、対話をしながら、自身のプレースタイルを柔軟に変えていました。
③社会的な交流の質と量を見直す
1・2の手法を実践することで、仕事が面白くなっていきます。
「③社会的な交流の質と量を見直す」も、周囲を巻き込むことで仕事を面白くしようとするものです。具体的には、仕事上で関わる社内外の他者との付き合い方のやり方を変えたり、関わりの量を変化させていったりします。
石川さんの事例をあげると、石川さんは怪我で試合に出られない時、SNSを活用してファンやステークホルダーとコミュニケーションを取られていたそうです。
第一部で、石川さんは、現役18年間に約20名の監督のもとでプレーしたと話されていました。
サッカーは監督が変われば、戦略戦術も変わります。石川さんの経験をビジネスパーソンのケースに置き換えてみると、同じ職場で単に上司が変わったというより、20回部署異動を経験した、またはプロジェクトに参加した、という方が近いのかもしれません。
非常に環境変化が早い中で、ジョブクラフティングの理論をご存じなくても、経験則から、状況に応じて、ジョブクラフティングの手法を活用されていたということだと思います。

4.ジョブクラフティング研修 体験セッション
体験セッションでは、秋本から研修の構成について紹介した後、実際のセッションに入っていきました。
秋本:日本マンパワーのジョブクラフティング研修では、ジョブクラフティングで仕事(担当業務)に対してのモチベーションを高め、研修後は経験学習によって成果を出す成長サイクルを実践していきます。
STEP1 自己理解
まず、キャリア自律のベースとなる「自己理解」からスタート。ここでは、自分の強み(得意なこと)、価値観(大事にしていること)、キャリアビジョン(成長を実感できそうなこと)を書き出します。
この3つを起点にすると、モチベーションが上がりやすく、成果が出やすいからです。
STEP2 ジョブクラフティングの実践
ここでは、自分の担当業務について、多角的な視点から自分の仕事を分析していきます。
ここで実践したジョブクラフティングを下敷きにして、研修受講後も、仕事を通じて得たポイントを、発見を積み重ねる感覚でどんどん加筆していきます。

第一部で、石川さんが、監督・コーチとよく対話をし、求められるものを傾聴した後に、こういうことがしたいと自分なりに変換したというお話がありました。このSTEP2を、石川さんもとても丁寧にされていたのではと思いました。
STEP3 経験学習
経験学習とは、経験をしっかりと振り返り、成功体験から持論を言語化し、次の仕事に活用し成果を上げながら成長していくためのサイクルのことです。
実際の研修では、経験学習を続けるためのポイントや、経験を成果に繋げるポイント等もご紹介しています。
ジョブクラフティング研修の詳細資料は、本記事末尾からダウンロードできます!

5.学びを持続させるための一工夫
体験セッションでは、実際に参加者にジョブクラフティングをしてもらい、今後力を入れて取り組んでいきたい行動を決めてもらったのですが、アウトプットはちょっと一工夫しました。
第1部でご登壇いただいた石川さんから、参加者一人ひとりにサイン入り色紙をプレゼント。色紙の余白に「今日の学びを基に明日から実践すること」をご記入いただいたのです。
この思いがけないサプライズに、参加者からは「なんか書くのがもったいないね」「明日、デスクに飾ります」「いつでも見られる場所に置いて見返すようにします!」といった声があがっていました!
こうした一工夫も、研修での学びの持続につながります。
実際の研修でも、学びの定着・持続につながるよう、色々な工夫を凝らしています!
6.最後に
最後に秋本から『幸福論』の著者・アランの言葉が参加者に贈られました。
秋本:最後にアランのこの言葉で締めたいと思います。「いかなる職業でも自分が支配するかぎり愉快であり、服従するかぎり不愉快である。」(どんな仕事も、他人からやらされているとつまらないし、自分から進んでやると面白い)
最後に、ライターの私からも一言。
第1部の石川さんのお話、特に、怪我や監督交代など外的要因で起こった影響に対し、他責で終わらせるのではなく、自分のできることや自分が変えられる部分を変えていこうとする姿勢には、とても共感しました。
また、仕事を面白くするジョブクラフティングの手法、私も実践中です。創意工夫はイノベーションにもつながっていきますよね!ぜひ、皆さまも、取り入れてみてください!
☆トップアスリート研修 ご案内資料
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☆ジョブクラフティング研修 カリキュラム例等の資料
下の画像をクリックすると資料がダウンロードできます!