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(後編)遊ぶ、学ぶ、働くをシームレスに! AI開発に携わる高校3年生・秋穂さんインタビュー

インタビュー

個人

連載記事

2023.11.8


10歳でマインクラフトゲームに出会ったことをきっかけに、デジタルテクノロジー分野の学びを深め、現在AI開発にも携わっている秋穂さんへのインタビュー。後編をお届けします!

1.学びの原動力は、「好き」であること
海野:秋穂さんはデジタルテクノロジー分野の学びをどのように深めてきましたか?
秋穂さん(以下敬称略):実は、両親や親戚など身近な大人に、デジタルテクノロジー分野に詳しい人はいないんです。まわりの友達もプログラミングやパソコンを触っている人はほとんどいなくて…。
なので、全て独学しました。MinecraftもScratchなどゲームのプログラミングもそうですし、高校に入ってからは、zoomのようなアプリ、webサイト等をテキストプログラミングで作ってきました。
独学の3種の神器は、ネット検索、You tubeなどの動画、書籍です。
調べる中で、知らない言葉、分からない英語も出てくるのですが、それを覚えなくては先に進めないので、毎日、結構な時間を費やしています。
1日は24時間ですが、まるで30時間勉強しているんじゃないか?と思うぐらいの時もあります。
でも、それが自分にとってそこまで苦しくないのは、それを上回る情熱や、「自分で調べあげたい」という欲があるからだと思います。

写真右上から時計回りに、緒方、秋穂さん、水野、海野
効率はわかりませんが、10、20、30時間調べ続けられます!
最初はよくわからなくても、調べ続けるうちに、関連するワードがわかってくるので、調べ方のスキルは身についたと思います。
海野:情熱や圧倒的な好奇心が秋穂さんを支えているのですね!
秋穂: 僕は、「好きこそものの上手なれ」ということわざは、本当にその通りだと思っています。
好きだからこそ、何時間も調べたり、工夫したり、学習したりを好きではない人に比べてどんどんできると思っています。
これからも、「パソコンが大好き」「調べるのが大好き」という自分ならではの武器をどんどん強化していかなければと思っています。
緒方:最近、知人のお子さん(高校生)が、AI開発によく使われているプログラミング言語Pythonを、you tubeでエンジニアの投稿を見て独学したという話を耳にしました。今、情報はネットの世界にあふれています。行動につながる「好き」という気持ちや、調べあげるスキルは、今の時代、重要度が増しているのだなと、秋穂さんの話を聞いて、改めてそう思いました。

2 未来の目標
~プログラミングやAIの開発で、世界をより良くしていきたい~
海野:ここからは、未来のことを聞いていきたいと思います。
秋穂さんの未来の目標「こんな未来を作りたい」とか、理想の未来「こんな未来を見たい」ということがあったら教えてください。
秋穂:今、生成AIが飛躍的に進化しています。自分もAIは大好きで、これからの世界のゲームチェンジャーになると思っています。だから、プログラミングやAIの開発で、世界をもっとより良くしていきたいです。
「何でも作れるようなエンジニアになる」というのが、未来の目標です。
また、もっと勉強することは当然必要ですが、アウトプットもしたいと思っています。なので、エンジニアのための情報コミュニティの Qiita(キータ)やZenn (ゼン)などに、自分も技術記事をアップしています。
そのほか、自分のブログでは、マインクラフトの記事、マインクラフトのサーバーの立て方、プログラミング関連の記事などをアップしています。
●秋穂さんのブログ
・チキンズブログ(自作ブログ) リンクはこちら
・Zennへの投稿記事 こちら
・Qiitaへの投稿記事 こちら
海野:未来の目標に向かって、すでに歩みをすすめていらっしゃるんですね。

3.理想の未来
~デジタルによって格差が無くなっていく世界~
海野:続いて、「こんな未来を見たい」という理想を教えてもらえますか?
秋穂僕の理想は、デジタルによって格差が無くなっていく世界です。AIや量子コンピュータなど科学技術の発展によって、人間が、より豊かに幸せに生きられる世界に変わっていってほしいです。
例えば、AIが医療の世界に入ることで新薬ができ、今まで治らないと言われていた病気が治るかもしれません。AI開発の現場にいると、日々刻々と技術の発展があるので、「変わっていってほしい」というより、変わっていくだろうなという気持ちが強いです。
また、子ども達には、ゲームで時間を消費するだけでなく、生産する側にまわっていってほしいという願いもあります。

4.生産する側にまわる
海野:「生産する側にまわる」とは、どういうことでしょうか?
秋穂:「ゲームで遊ぶ」のは消費者側です。
自分の持ち時間を、ゲームに搾取されています。
そうではなく、ゲームやアプリを生産する側にまわっていってほしいんです。その方が、新しいものが生み出せますし、生産側の能力も身についていきます。自分がコンテンツを作る側になれます。
そう思うようになったのは、自分の実体験が影響しています。
中学生時代、オンラインゲームやFPSゲームにはまり、勉強をほったらかしにして何十時間もゲームをやり続けていた時がありました。
でも、ふと「今やっているゲームは、コンテンツが終わったらゲームそのものが終了するけれど、それに対して自分の人生というコンテンツは、自分が死ぬまでずっと続くんだよな…」と気がついて。
「遊ぶ側、消費者側だと、時間や労力をいくら費やしてもアウトプットにはつながらないな」と。もちろん、ゲームをやりこんで、プロゲーマーになる方もいたりはするんですがそれはマシンスペックが必要だったり環境にかなり左右されると分かりました。
「ゲームで自分の人生の時間をめちゃめちゃ消失している、搾取されているじゃないか!」と、恐ろしさにハッと気がついて、作り出す側にまわろうと思いました。
水野:ゲーム沼にはまりこんで、「退却しよう」ではなく、作り出す側に踏み込まれたところが面白いですね!
●今ちょっと心配なこと
秋穂:こういった「生産者側にまわってほしい」という自分の願いの一方で、今、ちょっと心配なこともあります。パソコンに触れる機会の有無によって、消費者側と生産者側の格差が広がらないかということです。
最近、GIGAスクール構想が始まり、子ども1人に1台、Chromebookやタブレットが渡されています。昔では信じられないような素晴らしいことですが、ただこれらの機器は、windowsなどのOSを搭載したほかのパソコンと比べると、スペックが低めです。軽いアプリの使用が前提となっていて、消費者側の情報端末で、生産者側に回りにくいです。生産寄りアプリも入るようになってきてはいますが、本格的なプログラミングが学べるかという点で少し懸念しています。
せっかくのGIGAスクール構想なので、ゲームやアプリの開発ができるスペックのパソコンにも、子ども達が必要な時に、自由にアクセスできるようになればいいなと思っています。

5.AI開発が加速する中で、私たちにこれから必要なスキル・心構え
●AIを理解する
海野:秋穂さんの理想とする未来や、現在の懸念点、プログラミングの最前線にいるからこその視点が沢山あったように感じました。
今、ChatGPTなど、私たちがAIテクノロジーの恩恵にあずかる機会が、ますます増えています。一方で、私を含め、AI開発に携わっていない人たちの中から、「人間の仕事が奪われるのではないか」「どう使っていったらいいのか」等、不安の声も聞こえてきます。
秋穂さんは、今の状況をどうご覧になっていますか。
秋穂:チャットGPTや画像生成AIが出てきて、急にAI開発に関する議論が活発化したと感じています。
今はプログラマーが使うテキストコードではなく、普通の言葉でインプットが可能になり、アウトプットも言葉や画像などわかりやすい形で返ってきます。AIの凄さが、一般の人もより簡単に分かりやすく体感できるようになったんでしょうね。
また、AI開発戦争も加速しています。
新しいアルゴリズムというより、クラウドの計算能力をいかに大きくできるかというスケーリングでの競争が激化し、GAFAを中心とする巨大企業が、巨額の開発費をつぎこんでいます。
僕は、AIを何か魔法みたいな技術、よくわかんないけど使っていけばいいという気持ちでいると、どんどん企業から搾取される側になっていってしまうように思います。
AIを利用するだけでなく、根本的な仕組みや、おおもとにある数学などを正しく理解することが必要だと思います。
AIを理解することで、AIの悪用(※)を防いだり、生産者側にまわることもできます。
※AIの悪用 例えば、ChatGPTのパラメータをちょっと書き換えると、政治的思想を偏らせたり、偽の情報を埋め込んだりすることができてしまう。
緒方:今後、医療や法律など、AIが色々な分野で活用される未来が来ると思うのですが、AIは、思考の途中のプロセスが見えないので、怖さを感じています。
秋穂:そうですね。人間が理解できるのは3次元までなのに対し、AIは3次元以上で考えているので、途中のプロセスを人間が理解することは困難です。
でも、将来的には、人間が理解できる次元にして、途中のプロセスを可視化してくれるようになると思います。
既に、Chat GPTでは、入力された文字データを無数のベクトルに変換し、そのベクトルを無数の次元を持つ関数に入れ、出てきた答えを数値・ベクトルにして、さらに人間が理解できる次元の文字データにして返してくれています。人間が理解できるようにする可視化は、もう一部実現されているとも言えます。
水野:秋穂さんの言う通り、「魔法みたい」と無条件に受け入れるのではなく、クリティカルにも見ていくことが必要だと思いました。
これからは、今までの学校教育でありがちだった「従順に何でも覚えたらいい」とか、「答えを解いていく」ような勉強じゃなくて、クリティカルに物事を見ていく力が必要になりそうですね。
秋穂:その通りだと思います。世界は、予測不可能なパラメータ(変数)の大きすぎるものになってきています。
学校での勉強と並行して、今、進化しているAIを理解したり、クリティカルな目を養ったりすることが必要ではないかと思います。
●デジタルに触れる機会を増やす
海野:AI開発が加速する中で、他にも、これから必要なスキル・心構えはありますか。読者にアドバイスをお願いします!
秋穂:AIの進化が加速する中で、私たちがこれから必要なスキル・心構えとして、個人的に考えていることがあります。それは決して難しいことではなく、「デジタルに触れる機会」をもっと増やしていくことです。
AI自体の仕組みや危険性などについて知っておくべきだとは思いますが、日本はまだアナログすぎます。PCを普段使わない方もいますし、家にPCがない方もいらっしゃいます。まずはPCやスマホ、デジタル機器に触れて、デジタルというものの便利さや本質を知ってもらい、ある程度使いこなせるようになるのが大事だと思っています。
逆に、それができるようになればAIや今後必要になってくるスキルを自分で調べたり考えることができると思います。まずは、デジタルに触れてみるというのが第一歩ではないかと思っています。
そのうえで私が何かアドバイスさせていただくならば、
1. CoderDojoやデジタルについて学べるコミュニティに積極的に参加し、専門家やプロに実際に話を聞いたりして交流する
2. 実際にAI開発をしてみる
という二点が大事
だと思っています。
一点目は具体的ですが、コミュニティに参加する方はとにかく少ないイメージです。CoderDojoなら無料で参加できますし、現役プログラマーやプロも沢山います。僕はCoderDojo春日の代表なので、来ていただいたら詳しくお話もできます。CoderDojo以外にも、学校で詳しい先生に聞いてみるとか、YouTubeやネット上でAIに詳しい人の取材を見てみるのもよいかもしれません。
二点目は、実際に自分がAI開発を始めてみることです。自分は高校二年生のころからAI開発を独学で始めましたが、そのおかげでAIの大体のことならわかります。AIがどのように現実世界の物事を推論しているのか、パラメーターを調整して学習させているのか、などです。
それがわかると、次にAIがどのように進化するのか、課題なども見えてきます。(もう少しするとAIは計算量問題に直面しますし、新しい学習アルゴリズム / 計算アルゴリズムも必要になるはずです。)
そうなると、「理解した上で正しく使えばそんなに怖くないな」というのがわかってきます。
【編集後記】取材後、「こういった取材は初めてで緊張しました」と話していた秋穂さん。でも、お話内容に分かりにくさは全くなく、MinecraftやAIについて、私たちインタビュアーが理解できるよう、かみ砕いて教えてくれました!興味深いお話ばかりで、聞いていく内にさらに興味がわき、取材終了時刻を超えても質問が止まらなかったほどです。
今、AIをはじめ急速に進化するテクノロジーに不安を覚えている方もいると思います。
しかし、秋穂さんが話していたように、触れる機会を増やし理解していくことで、怖さは薄れ、使いこなせるようになっていくのではないでしょうか。
秋穂さんのように、かけはしになってくださる方に、今後も取材を続けていきたいと思います!
◆「未来へつながる仕事-Minecraftを通じて教育の変化を生み出していく(前編)」は、こちら


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